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雪だるまの恋(3)

物語
03 /12 2009
それから雪だるまの気持ちは天気に左右された。
太陽が隠れているときは、体が溶ける事もなく楽観的な気持ちでいられた。
もしかしたらこのまま消えていなくならずに済むのではないのかと思った。
だが着実に季節は移り変わろうとしていた。
雪だるまの体は少しずつ、溶けていった。

そんな中、女の子は姿を見せなくなっていた。

冬の終わりが近づき春が見えてきた頃、
もう雪だるまは原形を留めてはいなかった。
雪だるまは自分が消えてしまう事、そしてそれが遠くない事を悟った。

太陽が見えているときに、雪だるまは太陽に尋ねた。

「なんとかして、桜というものだけでも見られないでしょうか?
それはそれは美しいものだと教わりました。消えてなくなるとしても、
最後に一目だけでも見たいのです」

太陽は、何も答えなかった。
もはや雪だるまには、失望する余裕もなかった。

少しずつ消えかかる意識の中、ふいに雪だるまは少女の姿を見た。
幻影か?一瞬そう思ったが、そこには確かに少女が立っていた。
私がまだ残っているかどうか、確かめに来たのだろうか。

少女は持っていたものをこちらに見せた。
少女の持っていたお絵かき帳にはクレヨンで桜が描かれていた。
不器用に塗りつぶされた幹、そしてピンクの桜の花。

「それが桜というものの絵だよ」
太陽がそっと教えてくれた。

少女が来てしばらくした後、雪だるまの居た場所には水たまりだけが残った。

その後、本格的に春が訪れ、雪だるまのいた場所は桜が咲き乱れた。
辺り一面ピンク色の春景色。
が、その景色が少女の描いた桜よりも美しかったかどうかは、
今となっては雪だるまにしか分からない事である

終わり
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けった

2017年はほどほどに

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