雪だるまの恋(2)

物語
03 /08 2009
少女は雪だるまに一緒に桜を見ようと言った。
雪だるまは声には出せなかったが、心の中で約束した。



その日は今までの曇りがウソのように晴れ渡った。

雪だるまは空にある眩しいものの存在を初めて知った。

その時、雪だるまの鼻に風に乗って枯れ葉が付いた。
それがなかなか取れないで困っていると
どこからかクスクスと笑い声が聞こえてきた。

「誰です?」
雪だるまは誰に聞くともなく尋ねた。

「ごめんなさい、あんまりにもおかしくって・・・」
その声は空から聞こえてきた。声の主は太陽だった。

「3尺ぐらいはあるのかしら、あなたは大きな雪だるまね」

「そうですか、僕は大きい方なのですね。よく知っていますね」

「ここにいて、ずっとこの世界を見てきたからね」

「太陽さんは物知りなんですね、私は何も知らなくて・・・
もっともっと、この世界の事が知りたいのです」

「そう。今のうちに得られるだけ得ればいいと思うわ」

雪だるまは、太陽と和やかに会話を交わした。

それからしばらくして太陽が真上に昇った時、異変が起きた。
自分の右手に刺してあった棒が崩れて下に落ちたのだ。
雪だるまは最初何が起こったのか分からなかった。
だが、すぐに理解した。自分の体が、溶け出している。
「た、太陽さん!?僕の体が小さくなっているんです。どういう事ですか?
太陽さんなら知っているんじゃないですか?」

太陽は静かに答えた。

「あなたは暖かくなると溶けてしまうの。あなたがいられるのは冬の間だけです。
春になる前に、あなたは溶けて消えてしまうでしょうね」

「消える?どういうことですか?」

「この世からいなくなってしまうと言う事。何も見えなく、感じなくなると言う事」

「あんまりだ!!」

雪だるまは、驚いた。
その怒りの声が自分の発した声だったからだ。

「あんまりじゃないですか、私が一体何をしたって言うんですか。
 何か悪い事をしましたか?誰かを傷つけたり悲しませたりしましたか?
 もうしばらくしたら消えてしまうなんて・・・」

「それが決まりだから」

太陽は素っ気なく答えた。

雪だるまはその答えに酷く失望した。

自分が消える・・・それも春になる前に。

雪だるまの中に生まれた小さな醜いものが、
とぐろを巻いて次第に大きくなった。

雪だるまは、憎んだ。
太陽を憎んだ。
そして何より自分を作り出した少女を、憎んだ。

続く
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