イ・ビ・ツなトライアングル(28) - 超けったゴット超けった魂(旧:けった魂)

イ・ビ・ツなトライアングル(28)

アイツに会うために放課後校舎の入り口で出張っていた時だ。

突然、「山下さん・・・」と話しかけられた。

タカユキ君だ。

「山下さん、話したいことがあるんだ」

「・・・何?」

「ここじゃちょっと・・・駅前の喫茶店に行かない?」

アイツを待っていたが、
タカユキ君があまりにも憔悴した感じで話しかけてきたので私は狼狽した。

ここは付いていって話を聞くしかないだろう。

喫茶店に行くまでの間、
タカユキ君は話しかけても顔を下げたまま「そう」とか「あぁ」とかしか言わなかった。

駅前の喫茶店に着くと私達はコーヒーを二つ注文した。

コーヒーを頼んだ後、タカユキ君は静かに話し始めた。

「もう一度やり直したいんだ」

ちょっと待て。まだ別れるなんて話はしてないつもりだけど。

「今までの自分は間違ってた。友達の力を借りて彼女とつき合おうなんて。
 彼女に好きでいてもらおうなんて」

うん、それは間違ってる。でももう済んだことだ。

「だから、一人の力で山下さんと向き合いたい。ここ数日考えた結論がこれなんだ」

「・・・一つだけ聞かせて。」

「何?」

「コウイチ君にはなんて指示を出してたの?」

「具体的には指示なんて出してないよ!
 ただ困った時に相談に乗ってくれ、もしくは助けてくれって」

「・・・それだけ?」

「そう。それだけ。」

私は拍子抜けした。やっぱりカナエが言っていたことが正しかったのか。

「・・・嫌いになった、オレのこと?」

「ちょっとね」

そう私が言うとタカユキ君はハハッ、と力なく笑った。

どうやらここで結論を出さないといけないらしい。神様がタイムリミットを告げている。

来たコーヒーを頼りなく飲むタカユキ君は儚げだ。人生の移ろいを感じさせる。

この人の10年後、20年後、私は隣で微笑んでいるのだろうか?

いや、そんな先のことは考えなくていい。明日、明後日の話でもいい。

要は明日タカユキ君の隣にいたいかどうか、それで決めてもいいのではないだろうか?

私は・・・

「一つだけ約束して欲しいの」

「何?」

「もう私に隠し事はしない、って事」

「も、もちろん」

「ならいいよ。許してあげる」

「・・・ホントに?」

「ウソは言わないわ。タカユキ君と違うし」

そう言うとタカユキ君はキツいなぁ・・・と言い、またハハッと笑った。

そうなのだ。私はタカユキ君が好きなのだ。

どうやらいろんな事に気を取られすぎていたのだ。ここ数ヶ月というものは。
付き合うと言うことで頭がでっかちになっていたのだ。
タカユキ君が好きという気持ち、そしてタカユキ君が私を好きでいてくれる気持ち。
この二つがある限り、私達は大丈夫なはずだ。
焦らなくてもいい、ゆっくり彼氏彼女になっていけばいいのだ。

私が許す意向を示すと、タカユキ君は俄然元気になり、
クラスメイトのうっかりミスやバカ話に花を添えている。
意外と現金だな、コイツ。

そんなこんなで二人は平常運転に戻りました まる


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