エヴァンゲリオンとは何だったのか その8(終) ~まごころを、君に~

エヴァ総括
02 /11 2010
最後は旧劇場版に僕なりの解釈をして終わりにします。

・旧劇場版はディスコミュニケーションの世界である

これはここの内的世界での会話劇を読んでもらえば分かります。

アスカ「何も判ってないくせに、私の側に来ないで!」
シンジ「・・・判ってるよ」
アスカ「判ってないわよ、バカッ!」
アスカ「あんた私のこと、判ってるつもりなの!?」
アスカ「救ってやれると思ってんの?」
アスカ「それこそ傲慢な思いあがりよっ!!」
アスカ「判るハズないわ!!」
シンジ「判るはずないよ」
シンジ「アスカはなんにも云わないもの」
シンジ「何も云わない、何も話さないくせに、判ってくれなんて無理だよ!!」
レイ「碇君は判ろうとしたの?」
シンジ「判ろうとした」

この先も分かり合えない会話が続くのですが、
エヴァは自意識に苛まれて他者と上手く繋がれない人間をずっと描写しています。

・なぜアスカは最後に気持ち悪いと言ったのか

その前になぜ最後にアスカとシンジの二人が残されたのかという疑問もあるのですが、
これはエヴァに乗っていたのが二人だけだったからなんです。
つまりエヴァに乗っていたから人類補完計画が発動しても比較的早く自我を取り戻して、
あそこに残ることになったんですね。
このように庵野監督は精神論だけじゃなくて物理的な根拠もきちんと残しています。
アスカが精神崩壊したのも、プライドがズタボロになったという点というよりも、
使徒の攻撃を受けたという点の方が大きいというような点もそうです。

で、なぜアスカが最後に気持ち悪いと言ったのかですが、
これはみんなが人類補完計画で溶け合った時に
自分の本心をシンジに覗き見られたからです。
一番知られたくなかったと同時に知って欲しかったシンジへの好意が、
みんなの心が一つになった事でバレてしまったんですね。
「あんたが全部わたしのものにならないのなら、私、何もいらない」
という気持ちがバレてしまった。

これはシンジ側からすれば一種の「ズル」です。
本当なら現実のコミュニケーションで知る努力をして
知らないといけないアスカの気持ちをショートカットして知ってしまったんです。

だから気持ち悪いとアスカは言った、と解釈します。
あのラストはあれからディスコミュニケーションだらけの世の中でそれでもなんとか
コミュニケーションを積み重ねていかないといけないというラストなんです。

・なぜ「逃げちゃダメ」なのか

これは旧劇場版というよりはエヴァの全体的なテーマですが、
なぜかというと逃げちゃダメな局面では逃げた方が遙かにつらいからなんです。
シンジはエヴァに乗る前はゲンドウの知り合いの所に預けられていたんですが、
そこには結局何もなかったんです。確かに傷つく事はない場所だったんですが、
同時に誰からも必要とされていない場所だったんです。
それよりもエヴァに乗るって言うのが非常につらい事でも、
誰かから必要とされるっていう意味での充足感があるんです。
だからこそ「逃げちゃダメ」なんです。

・本当の夢とは何なのか

僕が何度も旧劇場版を見るうちに最後は二つの場所を繰り返して見るようになりました。
それがアスカとシンジが言い争う場面と、この夢が何かを問うシーンです。

シンジ「ねぇ・・・」
ミサト「何?」
シンジ「夢って何かな?」
アスカ「夢?」
レイ「そう。夢・・・」

シンジ「わからない。現実がよく分からないんだ」
レイ「他人の現実と自分の真実との溝が正確に把握できていないのね」
シンジ「幸せがどこにあるのか、わからないんだ」
レイ「夢の中にしか幸せを見いだせないのね」
シンジ「だから、これは現実じゃない。誰もいない世界だ」
レイ「そう“夢”」
シンジ「だから、ここには僕がいない」
レイ「都合のいい作り事で、現実の復讐をしていたのね」
シンジ「いけないのか?」
レイ「虚構に逃げて、真実をごまかしていたのね」
シンジ「僕ひとりの夢を見ちゃいけないのか?」
レイ「それは夢じゃない。ただの現実の埋め合わせよ」

シンジ「じゃあ、僕の夢はどこ?」
レイ「それは、現実の続き」
シンジ「僕の、現実はどこ?」
レイ「それは、夢の終わりよ」

この最後の4文に非常に感銘を受けたんですが、
この文の意味はずっとよく分かっていませんでした。
ですが今ではこういった意味だったと思っています。
この文章はこう補足すると意味がよく分かります。

シンジ「じゃあ、僕の(現実世界の)夢はどこ?」
レイ「それは、現実の続き」
シンジ「僕の、現実はどこ?」
レイ「それは、(虚構世界である)夢の終わりよ」

つまり、本当の夢(目標)はどこまで行っても現実世界にしか存在しないんです。
だから虚構世界から戻ってこれていない人は現実に戻ってこないといけないんです。
現実の目標を目指して現実と闘わないといけないんです。

庵野監督がこれほどまでに旧劇場版で現実世界に回帰せよというメッセージを発しているのに、
そのメッセージは今のヱヴァンゲリヲンに歓喜している人たちには伝わらなかったと言う事です。
庵野監督の「まごころ」は受け取られませんでした。
それこそが最たるディスコミュニケーションだったと言うとそれは皮肉に過ぎる話なのかもしれません。

それでも僕たちは現実に生きています。
よって現実を生きない事にはどうしようもないんです。
だから最後に僕も庵野監督と同じ事を言わないといけないんです。

虚構世界からいつまでも戻ってこない人達!
現実世界にあなたを必要をしている人
がいるんです!!
だから現実世界に戻ってきてください!!
お願いします!!
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