イ・ビ・ツなトライアングル (29)終

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
04 /15 2012
「もう行くのか」

「ああ。元気でな」

「お前こそ」

「サヤカちゃん、元気でね」

「はい!わざわざありがとうございます」

そう言うとアイツとサヤカちゃんは親が乗る車に一緒に乗り、旅立っていった。

「行っちゃったなぁ」

「そうね」

タカユキ君と一緒に帰ろうとした時、タカユキ君がボソッと呟いた。

「やっぱり、そうだったのかな・・・」

「え?なんて?」

「い、いや、なんでもない」

「隠し事はしないって約束でしょ!?」

タカユキ君はそうだったねと言うと、少しずつ話し出した。

「アイツ、コウイチのヤツ・・・」

「コウイチ君が?」

「ユミの事、好きだったのかなって」

アイツが私の事が好き!?なんでそーいう話になるのか分からない。

「ユミに告白する時、オレ、コウイチに相談しなかったんだ。うん、事後報告だった」

「後で伝えたら、コウイチのヤツ渋い顔してさ、
 タカユキの好きな人って山下さんだったのかって漏らしてた」

「しかもユミがそれにオッケー出したでしょ?だから言い出しにくかったのかなって」

「それだけで?」

「なんとなく分かるもんだよ、もう付き合いも長いし」

アイツが私の事が好きだった・・・か。
そう考えると折り合いが付くネタもいくつかあるが、もう終わったことだ。

「もしかしたら今日何か言うと思ったけど、何も言わないし、
 まぁ今となっては本人に確認する事でもないし」

「友達がいなくなって寂しい?」

「そりゃあ・・・」

「でもいいんだ。今はユミがいるし」

「そうね。私もタカユキがいるなら、それでいいよ」

「ホントに?」

「嘘はつかない。約束でしょ?」

「そうだね。じゃあどこかに寄ってから帰ろうか?」

「そうだね」

雨上がりの雲一つない空、私とタカユキは歩き出した。


おわり
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イ・ビ・ツなトライアングル(28)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
04 /03 2012
アイツに会うために放課後校舎の入り口で出張っていた時だ。

突然、「山下さん・・・」と話しかけられた。

タカユキ君だ。

「山下さん、話したいことがあるんだ」

「・・・何?」

「ここじゃちょっと・・・駅前の喫茶店に行かない?」

アイツを待っていたが、
タカユキ君があまりにも憔悴した感じで話しかけてきたので私は狼狽した。

ここは付いていって話を聞くしかないだろう。

喫茶店に行くまでの間、
タカユキ君は話しかけても顔を下げたまま「そう」とか「あぁ」とかしか言わなかった。

駅前の喫茶店に着くと私達はコーヒーを二つ注文した。

コーヒーを頼んだ後、タカユキ君は静かに話し始めた。

「もう一度やり直したいんだ」

ちょっと待て。まだ別れるなんて話はしてないつもりだけど。

「今までの自分は間違ってた。友達の力を借りて彼女とつき合おうなんて。
 彼女に好きでいてもらおうなんて」

うん、それは間違ってる。でももう済んだことだ。

「だから、一人の力で山下さんと向き合いたい。ここ数日考えた結論がこれなんだ」

「・・・一つだけ聞かせて。」

「何?」

「コウイチ君にはなんて指示を出してたの?」

「具体的には指示なんて出してないよ!
 ただ困った時に相談に乗ってくれ、もしくは助けてくれって」

「・・・それだけ?」

「そう。それだけ。」

私は拍子抜けした。やっぱりカナエが言っていたことが正しかったのか。

「・・・嫌いになった、オレのこと?」

「ちょっとね」

そう私が言うとタカユキ君はハハッ、と力なく笑った。

どうやらここで結論を出さないといけないらしい。神様がタイムリミットを告げている。

来たコーヒーを頼りなく飲むタカユキ君は儚げだ。人生の移ろいを感じさせる。

この人の10年後、20年後、私は隣で微笑んでいるのだろうか?

いや、そんな先のことは考えなくていい。明日、明後日の話でもいい。

要は明日タカユキ君の隣にいたいかどうか、それで決めてもいいのではないだろうか?

私は・・・

「一つだけ約束して欲しいの」

「何?」

「もう私に隠し事はしない、って事」

「も、もちろん」

「ならいいよ。許してあげる」

「・・・ホントに?」

「ウソは言わないわ。タカユキ君と違うし」

そう言うとタカユキ君はキツいなぁ・・・と言い、またハハッと笑った。

そうなのだ。私はタカユキ君が好きなのだ。

どうやらいろんな事に気を取られすぎていたのだ。ここ数ヶ月というものは。
付き合うと言うことで頭がでっかちになっていたのだ。
タカユキ君が好きという気持ち、そしてタカユキ君が私を好きでいてくれる気持ち。
この二つがある限り、私達は大丈夫なはずだ。
焦らなくてもいい、ゆっくり彼氏彼女になっていけばいいのだ。

私が許す意向を示すと、タカユキ君は俄然元気になり、
クラスメイトのうっかりミスやバカ話に花を添えている。
意外と現金だな、コイツ。

そんなこんなで二人は平常運転に戻りました まる


次回、最終回

けった

月曜日の夜、スカートを直した

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