世界でたった一人のあなたへ(3)

世界でたった一人のあなたへ
03 /18 2013
ガイ子「今晩・・・泊めてくれない?」

田中「え・・・ま、まぁ立ち話もなんだし、中に入って」

ガイ子「ありがとう」

中に入って机に座る二人

田中「で、いくつか聞きたいんだけど、どうしてガイ子さんはうちを知っているの?」

ガイ子「それは」

ガイ子「こないだ会った時、お別れした後に田中くんの後ろを付いていって・・・」

田中「そんな事してたの!?」

ガイ子「ごめんなさい、イケない事だとは思ってたんだけど・・・」

田中「今日うちに泊まらないといけない理由は?」

ガイ子「・・・」

田中「ガイ子さん?」

ガイ子「田中くんと別れてから家に帰ろうとしてたの。そうしたら後ろに気配を感じて、
誰かが私を尾けてきてたの。それで家に帰れなくなって」

田中「うーん、それは警察に相談した方がいいんじゃないの?」

ガイ子「こんな姿じゃ怖がられるだけだもん・・・」

田中「分かった。じゃあ明日一緒に警察に行って相談しよう。
ガイ子さんの姿については僕が説明するから。それでいい?」

ガイ子「じゃあ今日は・・・」

田中「うちに泊まっていいよ」

ガイ子「ありがとう!」

田中「もう今日は遅いし、寝よう。置き布団があるからガイ子さんはそれで寝て」

ガイ子「分かった」

布団を敷く田中

田中「じゃあ電気消すよ?」

ガイ子「うん、おやすみなさい」

田中「おやすみなさい」

田中「(今日はいろいろあって疲れたな・・・)」

ガサゴソ

田中「(うん!?誰か中に入ってきた!?)」

ガイ子「田中くん・・・」

田中「ガイ子さん!?」

ガイ子「好き・・・」

ガサゴソ

田中「痛っ!痛いよガイ子さん!!」

ガイ子「!?」

田中「やめてよ!」

ガイ子「ご、ごめんなさい」

田中「・・・ごめん、ガイ子さん」

ガイ子「ねぇ、今のは忘れて」

田中「分かった。分かったから向こうで寝て。ね?」

ガイ子「うん・・・」

田中「(びっくりしたなぁ・・・ガイコツに寝込みを襲われるなんて・・・)」

田中「(でもあれが生身の景子さんだったら・・・どうなってたんだろう・・・)」

田中「(うーん・・・zzz)」

次の日の朝

田中「あれ?ガイ子さん?いない・・・」

机に書き置き

田中くんへ

昨日はわがまま言ったのに泊めてくれてありがとう。
田中くんと一緒に過ごせて本当に楽しかった。
それで私舞い上がっちゃって・・・
今のままの私でも全てを受け入れてくれるんじゃないかと思ってしまったの。
でもそれはムリなんだってはっきり分かった。
だから私、元の自分に戻る方法を探します。
今はその方法は全く分からないけど、あてが一つだけあるの。
そこに踏み込むのはとても勇気が要ることだからためらってたんだけど、
昨日田中くんに拒絶されたことがいいきっかけになった。
今度会う時はきっと人間に戻ってる。
わがままだけど、できればそれまで待っていて欲しい。
田中くんの事が好きだから・・・
また会いましょう。それまで元気で ガイ子

田中「ガイ子さん・・・」

それからガイ子は田中の前に姿を現さなかった・・・


つづく
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世界でたった一人のあなたへ(2)

世界でたった一人のあなたへ
02 /01 2013
とある町の夏祭り会場にて

ガイ子「あ、田中くーん!こっちこっち!」

田中「あ、ガイ子さん!ごめん、ちょっと遅れちゃって」

ガイ子「全然いいよ、気にしないで!」

田中「ガイ子さん、浴衣着てきたんだ」

ガイ子「うふっ!そうなの。どう?似合ってる?」

田中「(ガイコツにも浴衣ってカンジかな・・・)うん、似合ってるよ」

ガイ子「でしょー!これお気に入りなの」

田中「そうなんだ」

ガイ子「今日は私の誘いに乗ってくれてありがとう」

田中「いやいや、丁度ヒマだったから」

ガイ子「じゃあヒマじゃなかったら来なかった?」

田中「(うっ・・・どうなんだろう・・・喫茶店で会った時は結局ガイ子さんは
   どうしてガイコツになったのかは教えてくれなかった・・・
   「そんな事忘れちゃったー」って・・・どうして・・・
   どうして僕はガイ子さんの誘いに乗ったんだろう・・・
   どうして僕はここにいるんだろう・・・)」

ガイ子「田中くん?」

田中「あっ、い、いや、そんな事ないよ。時間が合えばいつでも来たよ」

ガイ子「ふふっ」
田中「どうしたの?」

ガイ子「時間が合えばってところが田中くんらしいかなって。
全部の予定キャンセルしてでも来たよ!とか言えばいいのに」

田中「そ、そうかな・・・」

ガイ子「ほら見て!あそこにヨーヨー釣りがあるよ!」

その後、僕とガイ子さんは出店を一通り巡った。
ガイ子さんは一つ一つの出店を丹念に見て回り、キャッキャッと騒いでいた・・・

祭り場近くの草っぱらにて

ガイ子「あー、楽しかった!金魚すくいも射的もやったし、
    イカ焼きもとうもろこしも食べたし!」

田中「そうだね」

ガイ子「田中くん、楽しめた?」

田中「うん、楽しめたよ」

ガイ子「私が隣にいたから?」

田中「それは・・・」

ガイ子「言葉に詰まるなんてヒドーイ!せっかくおめかしして来たのに!」

田中「(おめかしって言っても全然違いが分からないんだけど・・・)
   ご、ごめん。そういえばガイ子さん、外に出たのに全然騒がれなかったね」

ガイ子「そうなの。初めてガイコツになった頃は外出したらものすごく驚かれたんだけど、
    それもだんだん減っていって。最近ではこっちが話しかけないと気付かれないくらいなの」

田中「そうなんだ」

ガイ子「なんか存在が希薄になってる気がする」

田中「まぁ騒がれるよりはいいよ」

ガイ子「それはそうね」

田中「・・・」

ガイ子「ねぇ、田中くん」

田中「何?」

ガイ子「今、好きな子いる?」

田中「え・・・どうしたの急に?」

ガイ子「いるの?いないの??」

田中「・・・」

ガイ子「いるんだ」

田中「え・・・」

ガイ子「ふふっ!いるかいないかで答えに困るって事はいるってことだよ。
    ガイ子の目はごまかせないんだからね!」

田中「(僕は景子さんが好きだったんだけど、ガイ子さんになってからはどうなんだろう・・・
    声や性格は景子さんなんだろうけど・・・)」

ガイ子「それが私だったら良かったのに」

田中「え・・・」

ガイ子「でももうダメよね。ガイコツと人間じゃ葬式ぐらいしか似合わないもの」

田中「ガイ子さん・・・」

ガイ子「さて、そろそろ帰る?」

田中「そ、そうだね」

座っていた場所から立ち上がると、そこには・・・

?「あ、田中さんだ」

田中「おお、めぐみさん」

ガイ子「知り合い?」

田中「うん、同じ職場の中垣めぐみさん」

めぐみ「はじめまして。その格好はお化け屋敷?」

ガイ子「まぁそんなとこね。私は御徒町景子。
   みんなはガイ子って呼ぶから、ガイ子でいいわよ」

めぐみ「ガイ子さんかぁ、面白いあだ名だね」

田中「ん?なんか向こうが騒がしいな」

めぐみ「あ、なんかケンカしてるみたい」

ガイ子「いけない!早く止めさせないと!」

ケンカ場へ走り出すガイ子

田中「ちょ、ちょっとガイ子さん」

追いかける田中

ガイ子「こらー、そこー、ケンカはやめなさい!」

ケンカしてる人「うるせぇ!」

田中「あっガイ子さん!あぶない!」

ボコッ

ガイ子を守ろうとして殴られる田中-

1時間後 公園のベンチにて

田中「う、うーん」

めぐみ「ようやく気がついた」

田中「ここは?」

めぐみ「公園のベンチ」

めぐみに膝枕をしてもらい横になっていた田中

めぐみ「殴られて気を失ってたんだよ」

田中「そうか、イテッ!あれ?ガイ子さんは?」

ガイ子「ガイ子さん?ガイ子さんは帰ったよ」

田中「え?」

めぐみ「田中さんが殴られてからガイ子さんが大暴れして。
    みんな気味悪がってケンカもおしまいになったの」

田中「そうなんだ」

めぐみ「でもガイ子さんのジャイアントスイング、すっごい格好良かった!」

田中「えっと、オレはどのぐらい気を失ってたの?」

めぐみ「1時間ぐらいかな」

田中「その間ずっとこの体勢だったんだ・・・ありがとう」

めぐみ「ま、まぁ同僚のよしみだから!気にしないで」

田中「じゃあそろそろ家に帰るよ。めぐみさんも途中まで送ってく」

めぐみ「そうね。一緒に帰りましょう」

こうして田中は家路に着いた

田中の一人暮らしの家

田中「(今日は一発殴られたぐらいでダウンしちゃって・・・
   本当に情けない・・・強くなりたい)」

田中、腕立て伏せを手をグーにしてし始める

田中「(強くならなきゃ・・・強くならなきゃ・・・)」

ピンポーン

田中「(こんな夜中に誰だろう・・・)はい」

ガイ子「田中くん・・・」

田中「ガイ子さん!どうしてここに??」

ガイ子「今晩・・・泊めてくれない?」


つづく

世界でたった一人のあなたへ

世界でたった一人のあなたへ
05 /28 2012
(この案はマンガをジャンプに持ち込もうという企画で考えていたヤツです。
どうしてもマンガにできる力がなくて断念しました。不定期に載せていこうかと思います。)

ある昼下がりのカフェ

田中「(今日は久しぶりに同級生の景子さんに会う日だ・・・
クラスのマドンナ的存在だった彼女が僕に会ってくれるなんてどういう風の吹き回しだろう・・・
いや、そんな事はどうでもいい!今日はいままで秘めていた思いを伝えるんだ・・・)」

ウィーン 自動ドアが開く

景子「あ、田中くーん」

田中「あ、景子さん・・・」

田中、驚く。そこには景子の姿はなく、全身ガイコツで服を着ているものが話しかけてきたのだった。

田中「(って、ガイコツじゃないかー!!!!!!)」

景子「ごめんね、遅れて」

田中「い、いや、別に・・・
(どうしよう・・・声は景子さんだし・・・
このガイコツが景子さんって事でいいんだろうか・・・)」


景子「一見しただけじゃ私って分からなかったでしょ?
もうあれからだいぶ時間も経ったし」

田中「そ、そうだね・・・(分かる訳ないよな・・・ガイコツだし)」

景子「どう?私、綺麗になった?」

田中「(どうしよう・・・ガイコツになったねなんて言ったら地雷かもしれないし・・・)
うーん・・・ちょっと痩せたかな?」

景子「田中君、嫌だなぁ!私高校の時に較べたら太ってるって!気遣ってくれてありがと。」

田中「(太ったって・・・全身骨になったようにしか見えないんだけど・・・)
そ、そっかぁ。うん、でもまぁ綺麗だよ景子さん」

景子「景子さんなんて堅苦しいわよ!ガイ子って呼んで」

田中「(え・・・自分でもガイコツって分かってるのかな・・・
ガイコツって言ってもいいんだろうか・・・分かんない・・・)じゃあ、ガイ子さん」

ガイ子「うふっ!そう、今日ちょっと違う香水使ってみたんだけど、どう?」

田中「(ホルマリンの臭いしかしないんだけど・・・浸かってたのかな・・・
でもそんな事言ったらダメだ!)うん、いい臭いがするよ」

ガイ子「ありがと。それにしても久しぶりだよね。田中君は全然変わらないね!」

田中「そうだねぇ・・・みんなにもよく変わらないって言われるよ。ガイ子さんは・・・変わった?」

ガイ子「私はねぇ・・・変わったねぇ。あの頃がなつかしいよ」

田中「(ガイコツになって変わってないなんて言われたらウソだよな・・・)そうだね、懐かしいね」

ガイ子「みんな元気にしてるかなぁ?」

田中「うーん、最近誰にも会ってないから分からないけど、みんな元気にしてるんじゃないかな?」

ガイ子「川崎君、元気にしてるかなぁ?」

田中「(川崎・・・クラスの中心的存在でオレとは対極にあったヤツ・・・
ガイ子さんとも付き合ってるんじゃないかと噂が絶えなかったヤツだ・・・)」

ガイ子「変わっちゃったのかなぁ?」

田中「ガイ子さん、昔の事を聞くようでなんだけど・・・」

ガイ子「何?」

田中「その・・・川崎とは付き合ってたの?」

ガイ子「え?なんで急に?」

田中「いや・・・なんとなく気になって」

ガイ子「川崎君とは付き合ってたよ。でも今から考えると遊びみたいなものだったのかなって」

田中「え・・・」

ガイ子「あの頃の付き合いって今からしたら遊びのようなものじゃない?
幼稚園のお遊戯会が高校生の時に遊びに感じるように、
今からしたら高校の出来事もお遊びに感じるってこと。それぐらいにはもう大人になったのかな」

田中「(そうだったのか・・・高校の時に死ぬほど羨んだ関係が遊びか・・・)」

田中「(なんだろうこの湧き上がってくる複雑な感情は・・・
目の前のガイコツが憧れの存在だったなんて皮肉だよな・・・)」

ガイ子「田中君は・・・まだ続けてる?」

田中「え?何を?」

ガイ子「柔道」

田中「ああ・・・もう辞めちゃったよ」

ガイ子「なんで?」

田中「全然強くならないし・・・弱かったなぁホントに」

ガイ子「私、一度だけ田中君の柔道の試合を観に行ったことがあるの」

田中「え!わざわざ・・・」

ガイ子「すぐ負けちゃったけどね。でも田中君の柔道着姿、カッコ良かった」

田中「ハハ・・・ありがとう」

ガイ子「あ、私ちょっとお手洗いに行ってくるね」

田中「うん」

田中「(ガイコツでもトイレに行きたくなるんだな・・・
いや、そんな事はどうでもいいとして、今日こそは景子さん・・・
いや、ガイ子さんに告白しようと思ってたんだけど、そんな状況じゃなくなってきてるよな・・・
ガイコツが彼女って言うのも変だし・・・)」

ガイ子「ただいま」

田中「あ、うん」

ガイ子「・・・ありがとう」

田中「?何が?」

ガイ子「私に何も言わないでくれて」

田中「何を?」

ガイ子「私、知ってるんだ。・・・自分がガイコツになっちゃったって」

田中「!?」

ガイ子「ガイコツになった私にここまで黙って付き合ってくれた人は初めて」

田中「それは・・・」

ガイ子「みんな一見しただけで逃げ出すの」

田中「・・・」

ガイ子「田中君は優しいよね、ううん、それは分かってた・・・もっと早く気づければ良かったのに」

田中「・・・ガイ子さんは、どうしてそんな姿になっちゃったの?」

ガイ子「それはね・・・」

一面見開きで、おわり

(読み切りの形なので、ここで終わりです。ですが、物語はまだ続きます。ので、つづく)

けった

2017年はほどほどに