イ・ビ・ツなトライアングル (29)終

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
04 /15 2012
「もう行くのか」

「ああ。元気でな」

「お前こそ」

「サヤカちゃん、元気でね」

「はい!わざわざありがとうございます」

そう言うとアイツとサヤカちゃんは親が乗る車に一緒に乗り、旅立っていった。

「行っちゃったなぁ」

「そうね」

タカユキ君と一緒に帰ろうとした時、タカユキ君がボソッと呟いた。

「やっぱり、そうだったのかな・・・」

「え?なんて?」

「い、いや、なんでもない」

「隠し事はしないって約束でしょ!?」

タカユキ君はそうだったねと言うと、少しずつ話し出した。

「アイツ、コウイチのヤツ・・・」

「コウイチ君が?」

「ユミの事、好きだったのかなって」

アイツが私の事が好き!?なんでそーいう話になるのか分からない。

「ユミに告白する時、オレ、コウイチに相談しなかったんだ。うん、事後報告だった」

「後で伝えたら、コウイチのヤツ渋い顔してさ、
 タカユキの好きな人って山下さんだったのかって漏らしてた」

「しかもユミがそれにオッケー出したでしょ?だから言い出しにくかったのかなって」

「それだけで?」

「なんとなく分かるもんだよ、もう付き合いも長いし」

アイツが私の事が好きだった・・・か。
そう考えると折り合いが付くネタもいくつかあるが、もう終わったことだ。

「もしかしたら今日何か言うと思ったけど、何も言わないし、
 まぁ今となっては本人に確認する事でもないし」

「友達がいなくなって寂しい?」

「そりゃあ・・・」

「でもいいんだ。今はユミがいるし」

「そうね。私もタカユキがいるなら、それでいいよ」

「ホントに?」

「嘘はつかない。約束でしょ?」

「そうだね。じゃあどこかに寄ってから帰ろうか?」

「そうだね」

雨上がりの雲一つない空、私とタカユキは歩き出した。


おわり
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イ・ビ・ツなトライアングル(28)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
04 /03 2012
アイツに会うために放課後校舎の入り口で出張っていた時だ。

突然、「山下さん・・・」と話しかけられた。

タカユキ君だ。

「山下さん、話したいことがあるんだ」

「・・・何?」

「ここじゃちょっと・・・駅前の喫茶店に行かない?」

アイツを待っていたが、
タカユキ君があまりにも憔悴した感じで話しかけてきたので私は狼狽した。

ここは付いていって話を聞くしかないだろう。

喫茶店に行くまでの間、
タカユキ君は話しかけても顔を下げたまま「そう」とか「あぁ」とかしか言わなかった。

駅前の喫茶店に着くと私達はコーヒーを二つ注文した。

コーヒーを頼んだ後、タカユキ君は静かに話し始めた。

「もう一度やり直したいんだ」

ちょっと待て。まだ別れるなんて話はしてないつもりだけど。

「今までの自分は間違ってた。友達の力を借りて彼女とつき合おうなんて。
 彼女に好きでいてもらおうなんて」

うん、それは間違ってる。でももう済んだことだ。

「だから、一人の力で山下さんと向き合いたい。ここ数日考えた結論がこれなんだ」

「・・・一つだけ聞かせて。」

「何?」

「コウイチ君にはなんて指示を出してたの?」

「具体的には指示なんて出してないよ!
 ただ困った時に相談に乗ってくれ、もしくは助けてくれって」

「・・・それだけ?」

「そう。それだけ。」

私は拍子抜けした。やっぱりカナエが言っていたことが正しかったのか。

「・・・嫌いになった、オレのこと?」

「ちょっとね」

そう私が言うとタカユキ君はハハッ、と力なく笑った。

どうやらここで結論を出さないといけないらしい。神様がタイムリミットを告げている。

来たコーヒーを頼りなく飲むタカユキ君は儚げだ。人生の移ろいを感じさせる。

この人の10年後、20年後、私は隣で微笑んでいるのだろうか?

いや、そんな先のことは考えなくていい。明日、明後日の話でもいい。

要は明日タカユキ君の隣にいたいかどうか、それで決めてもいいのではないだろうか?

私は・・・

「一つだけ約束して欲しいの」

「何?」

「もう私に隠し事はしない、って事」

「も、もちろん」

「ならいいよ。許してあげる」

「・・・ホントに?」

「ウソは言わないわ。タカユキ君と違うし」

そう言うとタカユキ君はキツいなぁ・・・と言い、またハハッと笑った。

そうなのだ。私はタカユキ君が好きなのだ。

どうやらいろんな事に気を取られすぎていたのだ。ここ数ヶ月というものは。
付き合うと言うことで頭がでっかちになっていたのだ。
タカユキ君が好きという気持ち、そしてタカユキ君が私を好きでいてくれる気持ち。
この二つがある限り、私達は大丈夫なはずだ。
焦らなくてもいい、ゆっくり彼氏彼女になっていけばいいのだ。

私が許す意向を示すと、タカユキ君は俄然元気になり、
クラスメイトのうっかりミスやバカ話に花を添えている。
意外と現金だな、コイツ。

そんなこんなで二人は平常運転に戻りました まる


次回、最終回

イ・ビ・ツなトライアングル(27)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
03 /05 2012
「・・・という事なの」

そうカナエに最近起こったことを説明すると、
カナエは「ふーん」と言ったきり静かになった。

「どうしたの?急に黙っちゃって」

私が尋ねるとカナエは大きく深呼吸をした。

「どーも納得いかないなぁ」

「納得いかないって?」

「今までの事が全部タカユキ君の指示って点」

「でも本人が認めたんだよ?」

「ここまでやれとは言ってない!って言ったんでしょ?タカユキ君」

「確かにそうだけど・・・」

「どうもアイツが勝手にタカユキ君の発言をねじ曲げて動いてる気がしてしょーがないんだけど」

「でも・・・」

「やっぱり納得できない。それともユミ私に話した事でまだ喋ってないことない?」

それは・・・ある。

アイツが公園でキスをしてきたことだ。それ以外は正直にカナエに申告している。

が、それは言えない。
私の中でも整理が付いてない点であるし、カナエには知られたくないからだ。


「それは・・・ないよ」

「そ・れ・な・ら!」

「それなら?」

「もう一度会って確かめる必要があるね」

誰に?と聞かなくても分かるか。

「アイツに決まってるでしょ!まさかこの期に及んで嫌とは言わないでしょ!?」

アイツにまた会うのか・・・どうも1対1で会うとロクな事が起こらない。

「だってユミ、タカユキ君と今は話せないでしょ?それならアイツに聞くしかないよ。
アイツがまだこの学校にいるうちにさ」

「でも・・・」

「でももへったくれもなし!もう待ったなし!
だいぶハッキリしてきてるんだから元気出して!最後はユミが終わらせるんだよ」

「終わらせるって、何を?」

そう言うと、カナエはニヤッと笑って、

「この、イビツなトライアングルを」

と、のたまった。


つづく

イ・ビ・ツなトライアングル (26)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
02 /10 2012
「一体どういうことなの?」

「つまり、今までの行動はタカユキの指示によってオレが動いていた、ということだ」

「二人の時間がなかなか取れなかったことも、デートの邪魔をされたことも、
今日のこの茶番劇だってタカユキの考えたことだと言う事だ」

「違う・・・オレはここまでやれとは言ってない!」

「まぁここまでやったのはオレの考えでもあるがな・・・
でもタカユキが知っていた事に違いはない」

「ここに及んで裏切るのかよコウイチ」

「裏切るんじゃないさ、自分に正直になるだけのこと。
オレも時間がないんだ。もうまどろっこしい事は止めにしたい」

タカユキ君が、私のストレスの主原因だった・・・でもどうして?

「・・・不安だったんだ」

「山下さんの気持ちがいつ離れてしまうのか、いや、そもそもオレの方を向いていないじゃないのかって」

「それに、二人きりになるのも怖かった。いつ嫌われてもおかしくないじゃないかって・・・」

「だからコウイチにお願いした。できるだけ一緒に付いていてくれないか?って」

「それに山下さんの気持ちも知りたいって。本当にオレのことを好きでいてくれるのか?って」

「でも分かったよ。何度調べても山下さんは真剣なんだ。
山下さんは真剣にオレのことを考えてくれているって。
オレが間違ってた。コウイチの言うとおりだ。コウイチは始め乗り気ではなかったんだ。
でもオレが必死にお願いしてなんとかやってもらった。オレが間違ってたんだ。オレが・・・」

そう言うとタカユキ君は手で顔を覆った。

「ようやく言えたな、タカユキ」

コウイチは少し微笑むと、
「で、どうする?お前には選択権がある。この彼女を疑うどーしようもないヤツと交際を続けるか、
それともあきれ果ててつき合うのを止めるか。まったくの自由だ」

いきなりすべてをオープンにされて、その上答えまでだそうと言うのか。
相変わらずアイツは性急だ。

「私は・・・」

「私は時間が欲しい」

「今までタカユキ君がやって来たこと、それを簡単に許すことはできない。
だってずっと疑われてきたんだもん。私は真剣に対応してきたのに・・・」

「ごめん」

タカユキ君はこちらを向いて深々とお辞儀をした。

「だから今は・・・時間が欲しいの」

そう言うと、アイツは神妙な面持ちで、

「そうか・・・まぁオレがいなくなるまでには出して欲しいもんだね、
その結論ってやつを」

と言った。


つづく

イ・ビ・ツなトライアングル (25)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
02 /06 2012
その日はあまり寝付けなかった。

目を覚ますと、もう昼前。約束の時間はすぐだ。

「会いたい。会いに来て」

ケータイを持つ手が震える。これ以外の文言が思いつかない。

12時。メールを送る。お願い、届いて、私の気持ち。

すると、すぐにタカユキ君から電話がかかってきた。

「もしもし」

「あ、山下さん。はぁ、どうしたの急に・・・はぁ、はぁ」

「・・・会いたいの」

「はぁ、今コウイチからも似たようなメールが来て、
走ってコウイチの所に向かってるんだけど・・・はぁ、後からでもいい?」

負けた。

いや、勝負はまだ付いてない。

「私も、私も行く!コウイチ君の住所教えて!」

「西町の5-24だけど・・・はぁ、一体なんなの?」

「私も合流するからゆっくり進んでて!じゃ!」

走り出せ、私。

ネットでだいたいの場所を調べた後、私は飛び出していた。

走って、走って、走って、走った。

着いた。ちょうどタカユキ君もいる。

「早かったね、山下さん」

私たちはアイツの呼び鈴を鳴らした。

すぐにアイツが出てきた。私の姿を確認すると目を丸くしている。

「お前も来たのか・・・ハハッ、この勝負はどうなるんだろうな。
先に会ったのはお前が最初だもんな、オレの負けか」

「勝負ってなんだよ。話があるから来たってのに」

「もう止めにしないか、タカユキ」

「止めにするって?」

「知らないふりをするのは止めると言うこと」

「全部知ってるだろ。おれ達のこじれた関係」

「・・・」

「ちょっとどういう事よ!タカユキ君は関係ないじゃない!」

「そうだとよかったんだがな。関係ないとは言えないんだ」

「むしろ首謀者はタカユキだ。こいつがおれに指示したんだ」

タカユキ君が・・・真犯人?

つづく

イ・ビ・ツなトライアングル (24)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
01 /30 2012
「・・・嫌」

そうだ。

「嫌よ・・・そんなの嫌」


「答えはno・・・か。それじゃあこういうのはどうだ?」

そういうとアイツはつかつかと私の方へ歩み寄ってきた。

「!?」

目の前が真っ暗になる。唇には何かの感触が。

キス・・・されている。

私はとっさにアイツの頬をはたいた。

「ちょっと・・・何するのよ!」

「秘密を作っただけさ。二人だけの」

「オレにキスされたのがバレたくなかったら要求を呑め」

「明日の12時だからな。じゃあな」

そういうとアイツは片手をあげながら去っていった。

雨の中、私は立ち尽くしていた。


つづく

イ・ビ・ツなトライアングル (23)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
01 /27 2012
雨が酷い。さっきまでの遊園地の天気がウソのようだ。

アイツが引っ越す。

と言うことは自動的にタカユキ君争奪戦(私命名)は私の勝ちになるはずだ。

だがそれでいいのだろうか。

そう疑問に思っているからこそ、私はアイツの誘いに乗り、
空き地へと向かっているのだろう。

小走りになりながら空き地に着くと、アイツの姿はあった。

「よく来たな」

芝居がかった声でアイツが挨拶をした。

「ちょっと待って。まず最初に聞きたいんだけど」

「アンタ転校するんでしょ?」

そう言うと、アイツは眉を少し引きつらせたように見えた。

「サヤカから聞いたのか」

「そうよ」

アイツは少し時間を取った後、そうだ、と答えた。

「これでお前とのバカバカしい諍いも終わり、最終決着と言うこと」

「それで結局どうする訳?
 アンタ私がタカユキ君に事情を説明できないからって好き勝手やってきたけど」

「タカユキに言ったって何も変わらんさ」

「タカユキにオレがお前らの事を邪魔してると知れても、
 あの心配性が何かやってるな程度。何も変わらない」

アイツはポツポツとマイペースで話しかけてくる。

「それにしても少し驚いたよ。あっさり根を上げてくれると思ってたのに。
お前の考えって言うのもあながちバカにできないものなのかもしれないな」

当然だ。タナボタの始まりだったが、
今では私だって生半可な気持ちでタカユキ君とつき合っているのではない。

「さて、今日ここに来てもらったのは他でもない。最後に賭けをしないか?」

「賭け?」

「そう、知っての通りオレもあまり時間がないんだ」

そう言うとアイツは説明を始めた。

「賭けの内容はこう。明日昼の12時にオレとお前、両方がタカユキにメールをする。
すぐ来て欲しいと。そしてタカユキが来た方が勝ち。こなかったら負け。
タカユキが彼女と親友のどっちを取るか?
どうだ?簡単だろう」

確かに簡単ではあるが、一体どういった口実で呼び出せばいいのだろうかと考えあぐねていると、

「何、簡単な事さ。今すぐ会いたいとでも言えばいい。理由は後から説明する、で」

「オレが勝利した暁には、お前に手を引いてもらう。
逆にお前が勝ったならオレが諦めるさ」

私は思った。
私たちの意地の張り合いにタカユキ君をとうとう巻き込んでしまう事になると。

「何か不服そうな顔だな」

「まぁ確かにな。オレがいなくなるってもう知っている時点で、
この勝負に乗っかるのはあまり意味がない。
黙ったフリしておけば自動的にタイムイズオーバー、だもんな。
どうする?するかしないかはお前に任せる。ただし、この場で決めてくれ」

「アンタは・・・」

「アンタはどうして私たち、いや、私の邪魔をするの?
 彼女と親友、どっちも居ていいじゃない。相反するものじゃない。私が単に気に入らないだけ?」

そう聞くと、アイツは少し考え込んで、

「独占欲って知ってる?」

と尋ねてきた。

「独占欲?」

「そう、独占欲。誰かを独り占めにしたいという欲求、欲望。
 それに突き動かされてるのかもしれないな。
 でもお前だってオレを非難することはできないはずだ。
 お前だって独占欲から逃れられてる訳じゃないだろ?」

私はタカユキ君を独占したい、と今まで思った事はなかった。
が、これだけアイツのことを嫌だと思っていると言うことは、
やはり独り占めにしたい欲求があるということ・・・
なのだろう。

「さて、どうする?する、しない?」

賭け、か。勝てる自信がない。まず呼びかけるだけでも震えそうになってしまう。
しかも負けた時のリスクが大きい。黙っていればアイツはいつか居なくなる。
それでもいいではないか。

雨音がどんどん激しくなる。止む気配は一向にない。


「どうする?」


つづく

イ・ビ・ツなトライアングル(22)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
08 /26 2011
サヤカちゃんが最後に言った言葉を反すうしながら私は一人帰路についた。

「転校するって事はお兄ちゃんには言わないで下さい。
 お兄ちゃん、誰にも言うなって・・・」

結局タカユキ君はアイツに転校のことは言わなかった。

アイツが転校する、そうなると私はタカユキ君と何の邪魔もなく二人で会えるのだが、
それでもなんとなく腑に落ちないものを感じていた。

さっきまでの晴天がウソのように曇ってゆき、
日が落ちて暗くなった中、私は家にたどり着いた。

そして、家に帰り着くとそのまま部屋のベッドに倒れ込んだ。

初デートの緊張から解放されたからだろうか、そのまま眠りに落ちそうになった中、
私はケータイの音でまどろみから目を覚まされた。

西山コウイチ、アイツからのメールだ。

「今夜、決着を付けよう。コンビニ向かいの空き地で待っている」

決着を付ける、か。


雨が本降りになっている中、私は空き地へ向かい飛び出した。


つづく

イ・ビ・ツなトライアングル(21)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
08 /22 2011
始めはうつむき加減で暗かったサヤカちゃんの表情だったが、
一緒に回っていくうちに次第に明るくなっていった。

私も次第に3人で回ることが楽しくなって、
タカユキ君とのデートだと言うのを忘れそうなくらいサヤカちゃんと遊園地を楽しんだ。


帰宅への集合時間が差し迫った頃、私たちは最後の乗り物、観覧車に乗った。

「今日は楽しかったね、サヤカちゃん」

「はい!本当にありがとうございました」

そう言ってサヤカちゃんはほほえんでくれた。

しかし、その後表情がみるみるうちに暗くなり、今にも泣き出しそうな顔になった。

「どうした?何か嫌なことでもあったの?サヤカちゃん」

タカユキ君が尋ねると、サヤカちゃんはしばらく口ごもった後、こう言った。

「転校・・・」

「ん?」

「転校するんです、私たち。1ヶ月後には誰も知らない場所へ行かないといけない」

「私たちって事は、コウイチも?」

「そうです」

それを聞くとタカユキ君の顔が急にへの字顔になった。

「それでなのかな、お兄ちゃん最近様子が変で・・・
 だから今日は無理言って連れてきてもらったんです」

そう言うとサヤカちゃんはきっぱりとした顔で、

「もちろん、遊園地で遊びたかったって言うのもありますけど」

と言った。


つづく

イ・ビ・ツなトライアングル(20)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
08 /15 2011
「ごめんなさい」

ティーカップへ向かった午後のデート開始の開口一番、サヤカちゃんはこう言った。

「おねえさん達のデートを邪魔しちゃってますよね」

「そんな事は気にしないでいいよ。オレ達もサヤカちゃんと遊びたかったんだ」

タカユキ君はそう言った。どこまでもお人好しというか、なんというか・・・

「それよりも、諸岡さんとお兄ちゃんと回った午前中は楽しかった?」

「カナエさんは楽しくいっぱい話しかけてくれたんですが、
 お兄ちゃんとカナエさんはほとんど口を利かなくて・・・」

やっぱりそうかと私は思った。どちらもお互いを警戒して話さなかったのだろう。

「私ついてきたの間違いだったかなって・・・せっかく無理を言ってついてきたのに」

いや、サヤカちゃんがいてカナエは嬉しかったと思う。きっとそうだ。

「まぁ初めて遊びに来たんだし、上手くいかない時もあるよ。
 それよりもサヤカちゃん、せっかく来たんだから楽しもうよ」

サヤカちゃんはこっくりと頷くと、私たちはティーカップに乗り込んだ。


つづく

イ・ビ・ツなトライアングル(19)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
01 /30 2011
タカユキ君とジェットコースター。
タカユキ君と観覧車。
タカユキ君とメリーゴーランド。

楽しい。アハハ。

そうか、デートってこんなに楽しいものだったのか。
誰にも気兼ねする事なく二人で遊べる。
こんな単純なことがたまらなく楽しい。

私は終始ご機嫌だった。

午前中はこんな感じで過ぎていった。しかもまだ午後もある。
ああ、なんという幸せ。

昼近くになったので、集合場所のマックに二人で向かった。

その途中だった。タカユキ君が少し考え込んだように話をしだした。

「山下さん、午後からはオレがサヤカちゃんの面倒を見ようと思うんだけど、いい?」

??? どうして?

「コウイチを諸岡さんと二人で話させてあげたいんだ。
こんな機会何度もある訳じゃないし」

「でも・・・」

「そうじゃないと4人で遊園地に来た意味がなくなっちゃう」

「・・・」

「わがままなのは分かってる。ホントはオレも午後も山下さんと二人で遊びたい。
 でも、コウイチにもオレが午前に感じた気持ちを感じて欲しいんだ」

「・・・」

「本当にごめんね・・・」

私は頭が混乱して何も話せなくなった。


つづく

イ・ビ・ツなトライアングル (18)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
01 /23 2011
〈あまりに長く期間が空いたので前回までのあらすじ:
 どこにでもいる普通の高校生山下ユミは、
意中のクラスメイト田中タカユキに突然告白される。
このハッピーサプライズにまんまと食い付いて付き合いだした二人だが、
なぜかタカユキの親友、クラスの人気者西山コウイチが立ちはだかり、
なかなか二人きりになれない。
実はコウイチはユミの事を快く思ってなくて意図的に邪魔していたのだ。
そのコウイチの横やりによりユミとタカユキのデートは
コウイチとユミの親友諸岡カナエを加えたダブルデートへ。
一体どうなるダブルデート!?〉



快晴だ。ムカつくほどに快晴だ。

私は一張羅を身に纏い、滅多に引かない口紅を引いた。
そしてヨッシャ!と口にし外に出た。

戦いの始まりだ。

待ち合わせは9時、遊園地の中央ゲート前。
電車に乗り二駅、バスに乗り換え15分。待ち合わせ場所に到着した。
8時45分。上出来。
他にはまだ誰も来ていない。
そのうちタカユキ君がやってきた。
目立たない寒色系の私服がタカユキ君らしくて思わず笑いがこぼれた。
そして、アイツが来て、最後にカナエがやって来た。

「セーフ!ギリっギリセーフ!さっすが私!」

カナエは息を切らしながらも自慢気だ。これで全員揃った。

1、2、3、4、5人。・・・5?

「はじめまして」

アイツの横に寄り添うようにしてその小さな来客は挨拶をした。

「西山サヤカ、小学校4年生です。今日はお兄ちゃんにムリを言って付いてきました。
みなさんよろしくお願いします」

お人形さんのようにかわいらしい。
しかしデートに妹を連れてくるたぁ一体どういう了見でぃ?

「すまん、今日親がいないから仕方なく連れてくる事にした。
面倒は自分が観るから心配しなくていいよ」

アイツはメンドくさそうに説明した。アイツにとっても想定外の事らしい。

「サヤカちゃんかっわいー!今日はお姉さんが一緒に遊んであげるからね」

カナエは早速サヤカちゃんに話しかけていた。サスガだ。

「じゃあ、私とコウイチ君とサヤカちゃん、ユミとタカユキ君に別れて遊びましょう。
 お昼に遊園地内のマックで合流、って事で」

カナエはてきぱきと指示をして二人を連れて歩き出した。
アイツが恨めしそうにこちらを見ている。ざんねんでした!


つづく

イ・ビ・ツなトライアングル (17)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
09 /22 2010
「いいじゃん、行こうよダブルデート」

カナエの返事は意外かつ簡潔なモノだった。

「カナエ、どうして行こうって話になるの?」

私は単純に尋ねた。

「ユミ、ちょっと考えてみ。アイツが私の事気になってるって言うのは
 ユミとタカユキ君を邪魔するための完全なウソでしょ?
 今回断ったとしても事あるごとにそれを持ち出してきて妨害するつもりだよアイツ。
 それなら今回一緒に行ってその作戦を潰した方が得策だよ。」
 「でも・・・」
「実際に行けば、建前上アイツは私とデートしないと行けない訳だし、
タカユキ君とユミにくっついてずっといる訳にもいかないでしょ。
 ユミはその間にじっくりと初デートを楽しめばいいじゃん」
「・・・そうかもしれないけど」
「それに、この方法をアイツが使えるのは1回こっきり。
 次からは私と二人で会ってくれっていくらなんでもタカユキ君も言うでしょ。
まぁその時は丁重にお断りさせていただくけどね。」
「うーん・・・」
「と・に・か・く!ここで一気に勝負を決めちゃおう!」

カナエはそう言うと悪そうにニヤけている。
これはなにか悪巧みを考えている時のカナエの顔だ。

「うまくいくかなぁ」
「大丈夫だって」
「私、弱いから・・・」

「いや、ユミは強いよ」

カナエは私の顔をまっすぐに見てこう言った。
これは真剣な時のカナエの顔だ。

こうして私達はダブルデートととして遊園地に行く事になった。
私としては本意ではないが仕方がない。
デート自体がなくなってしまうよりはよっぽどマシ・・・だと思う事にしよう。

そうこうしているうちに時は過ぎ、ダブルデート当日を迎えた。


つづく

イ・ビ・ツなトライアングル (16)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
09 /22 2010
一体どれだけ走っただろうか。

気がついたら一階の踊り場に着いていた。
身体が少しワナワナと震えている。
震えが少しおさまった時、私は一つの事実に気付いた。

タカユキ君とはじめて喧嘩してしまった-

この事実に気がついた時、私は酷く動揺した。
今までの3ヶ月間、喧嘩のケの字もない付き合いをしてきたのだ。
それがこんな簡単に崩れてしまうとは-

「山下さん」

後ろから呼びかける声がした。
後ろを振り向くと、そこにはタカユキ君がいた。

「山下さん、ごめん・・・」

タカユキ君はうつむきながら私に謝罪した。

「始めから二人で行く約束だったもんね・・・
コウイチには今回は遠慮してもらうように言うよ」

タカユキ君が悲しそうにしている。胸が張り裂けそうだ。

「待って」
「どうしたの?」
「・・・カナエに聞いてみる。それでダメだったらコウイチ君にはあきらめてもらう。
それじゃダメ?」
「いや、それで全然構わないよ!・・・でも、いいの?」
「・・・うん」
「分かった。ありがとう。じゃあ一緒に戻ろうか」
「うん!」

なぜオッケーを出したのか、と聞かれたら、キラワレルノガイヤダッタ、としか答えようがない。
私は弱い人間だ。自分のノーを押し通せないのだから。
しかし一方でカナエに断ってもらえばそれで済むとも計算していた。
私はタカユキ君と教室に戻りながら、カナエに断ってもらう算段をしていた。


つづく

イ・ビ・ツなトライアングル (15)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
09 /15 2010
時間というのは偉大だ。だっていろいろな問題を解決してくれるから。
私がそうしみじみ思っているのにも訳がある。

とうとうタカユキ君の部活が忙しくなくなったのだ。
つまり私は必然的に構ってもらえる時間が増えた。単純に嬉しい。
そしてなんと初デートの話が決まった。二人で遊園地に行くのだ。

苦節3ヶ月、いよいよタカユキ君と二人きりでデートだ。感無量だ。

初デートが決まってからというものの、私の機嫌は常によかった。
アイツのファンから冷たく見られても関係なくニコニコしていた。
私は指折りしながらその日が来るのを待っていた。まさに至福の時間だ。

そしていよいよ初デートが週末に迫ったときだった。

タカユキ君が昼休みにニコニコしながら話しかけてきてくれた。

「あのさ、山下さん。週末遊園地に行くじゃんか?」
「うん」
「ちょっと相談なんだけど、あれさ、諸岡さんを連れてきてくれない?」

諸岡というのはカナエの名字だ。
どうしてカナエを私達のデートに連れて行かないといけないのだろうか?

「実はコウイチがさ、諸岡さんの事が気になってるんだって。
で、二人の仲をどうしても取りもってもらいたいんだって。
オレとしてもコウイチに彼女を作ってあげたいんだ。
協力してくれないかな?」

「イヤ!」

私は驚いた。自分の発した声が思った以上に大きかったからだ。
タカユキ君も驚いた顔をして硬直している。

私は気が動転してその場から逃げるように走って離れた。


タカユキ君・・・無神経すぎるよ!!!



つづく

イ・ビ・ツなトライアングル (14)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
09 /13 2010
変な夢を見た。

私は辺り一面花だらけの花畑にいる。姿はセーラー服だ。

遠くから呼びかける声が聞こえる。
声の方を向くと、男の人が私を呼んでいるらしい。
よく見ると、タカユキ君だ。だが着ている服が中世の王子様のような服を着ている。
そのタカユキ君が私の名前を呼びながら近づいてくる。
私もタカユキ君の方へ近づいていって二人は一緒になり、
手と手を取り合って笑いながら回っている。

そして私はタカユキ君に抱きしめられ、「君を愛してる」と言われる。
私は、「私も愛してる」と応えようとする。が、私も・・・の後が続かない。
声が出ないのだ。
私も・・・私も・・・。

愛してるがどうしても言えない。これはどうしたことか。

もう一度息を大きく吸い込んで、気合いを入れて「愛してる!」と大声で叫んだ。

言えた。よかった・・・と思ってタカユキ君の方を見ると、
なんとタカユキ君はそこにはいず、コウイチ君がいるのだ。

そしてコウイチ君がニヤリと笑いながら「ホントウニ?」と私に尋ねた所で
目が覚めた。

午前4時。イヤな夢を見た。ジトッとした寝汗をかいている。
変な夢だった。これは欲求不満がたまってるんだろうか。
それにしてもヘンテコな夢の中にまで出てきて
邪魔をするなんてアイツの妨害は相当なものだ。

私は寝汗の付いたシャツを着替えてまた眠りについた。


つづく

イ・ビ・ツなトライアングル (13)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
09 /07 2010
昨日の話をした後、カナエはしばらくキョトンとした。
そしてそれが終わると、プププというこらえ笑いから
ついには大口を開けて大爆笑が始まった。

「ハハハハッ!あ~、腹痛い。
そうかぁ、コウイチ様はそっちの世界の方だったのね・・・
ふ~ん、羨望の目で見てる女子達が知ったらどうなることやら・・・
まぁそっちはそっちでニーズがあるかもねぇ!?ハハハッ、あ~おかしい」

「ちょっと、茶化さないでよ。こっちは真剣に悩んでるんだからさぁ!」
それにそういう事じゃないかもしれないじゃない?」

「そういう事じゃないって?」

「自分が言った事と矛盾してるけど、単に友達として心配してるとか・・・」

「友情でって事?・・・そうだとしてもずいぶん“行き過ぎた”友情だと思うけどねぇ。
私がタカユキ君にユミと付き合うなって言うのと同じでしょ?
そんな事普通言わないでしょ。」

「そうだけど・・・」

「フフ、恋人しっかーく!の烙印を押されちゃったね、ユミ」

ニコニコしながらカナエが言う。チッ、楽しんでるな。

「で、どうするつもり?」

「どうするつもりって?」

「このままタカユキ君を大人しくあきらめる訳?」

タカユキ君をあきらめる。そんなの有り得ない。

「あきらめない。だから私は・・・」

「だから?」

「・・・戦う。アイツと」

そう言うとユミはニヤッと笑った。

「よく言ったユミ。私は最後まで貴方の味方だから」

頼もしい戦友が一人、誕生した。



つづく

イ・ビ・ツなトライアングル (12)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
09 /03 2010
体育館倉庫の裏にたどり着いた時、そこにタカユキ君の姿はなかった。
その代わり、他の人物がいた。

西山コウイチだ。

「タカユキ君は?」私は尋ねた。当然の疑問だ。

「タカユキは来ないよ。オレがおつかいを頼んでるから」

コウイチ君はあっさりと答えた。

「ケータイは?アドレスはタカユキ君から聞いたの?」
そう聞くとコウイチ君は右手のポケットからタカユキ君のケータイを取り出し、
目の前でプランプランとさせた。

「ちょっと借りて覗かせてもらった。悪いとは思ったけど」

つまり私はハメられた、と言う事か。
それと同時に私はイヤな予感がしてきていた。

私はコウイチ君から本当に告白されるのではないだろうか。

そう考えるとコウイチ君の今までの行動がすんなり理解できる。

コウイチ君は私が好きなため私と一緒に居ようとした。
加えてタカユキ君と私が仲良くなるのを阻止し、
あわよくば二人が別れればよいと思った。
だが、その考えは上手く運ばず、遂には業を煮やして
私に告白をして無理矢理流れを変える行動に打って出た・・・

フッ、私って罪作りな女・・・などと冗談を飛ばしている場合ではない。

そうこう考えているうちに、

「伝えたい事があるんだけど」

とコウイチ君は言った。

予想した最悪の展開が来る。
私はコウイチ君にまた告られるのか。そうなるとどうなる?

一体どうやって断ればカドが立たないのか、
ああ2人の友情はどうなるのかこれは私が踏みにじる事になるのか?
まてここは一旦保留にしてまたカナエの助言を・・・-

「やめてくれないか」

コウイチ君は真面目な顔でこう言った。

やめるとは、何を?

「タカユキと付き合うのをやめてくれないかと言っている」



そ、それはどういう・・・

「迷惑だ。君とタカユキじゃ釣り合わない」

め、めいわく?つりあわない?

「そうだな、今ならまだ日も浅いし、君からフッてくれたんでいいよ。
 フォローはオレがするから」

はあ?

い、いや、勝手に話を・・・

「物分かりが悪いな、山下さん。ホントにこの高校受かったの?」

コウイチ君、いやコウイチは畳みかけてくる。

「タカユキに彼女はいらない。オレがいれば充分だ。
これ以上タカユキとオレの間に立ち入るなら実力行使に出るから。じゃあ」

そう言うと、コウイチはさっと踵を返して校舎へ戻っていった。

・・・

オーケィ、状況を整理してみようか。

私の予想はほとんど当たっていた。
コウイチが意図的に私達の邪魔をして割り込んでいた事。
二人が別れれば良いと思っていた事。
事が上手く運ばず業を煮やしていた事。

だが、決定的な点が外れていた。

コウイチが好きなのは、私ではなく、タカユキ君だった-



つづく

イ・ビ・ツなトライアングル (11)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
09 /01 2010
それからの1ヶ月はイライラしっぱなしの毎日だった。
どこに行くにもタカユキ君の近くにコウイチ君がいる。
隣のクラスから連日の出張だ。
コウイチ君に迂闊に近寄れないからタカユキ君にもなかなか近寄れない。

それだけ気を配ってるのにコウイチ君の相手候補に
名前が挙がってファンから冷たい目で見られる毎日。

まぁわりとサバサバしている方だから女子と馴れ合わない今の状況は
別にどうということはないのだが、タカユキ君と二人きりになれないのはつらかった。

タカユキ君と放課後メールや電話はしていた。
それはそれで楽しかったが、それも長時間できる訳じゃない。
それになんでこんなに近くにいるのに一緒にいられないのだろうか。
そもそも付き合うってなんなんだろうか。
考えると頭が混乱してきた。
土日のデートもまだできない状況だった。
ちょうどタカユキ君の部活が忙しかったからだ。

そんな状況の中、私は気が滅入っていた。
付き合い疲れというヤツだろうか。いや、付き合ってるって言える?この状況。
そう思うと自嘲気味な笑いが出てきた。ハハッ、なにやってるんだ私。
この状況をタカユキ君はどう思ってるんだろうか。
いつも楽しそうに笑っているから楽しんでいるのだろうか。
私はタカユキ君がいろいろ察してくれない事にも少し不平を感じ始めていた。
タカユキ君、かなりニブい・・・かも。

そんなある日、お昼休みに1通のメールが来た。知らないアドレスからだ。

「西山です。タカユキからアド聞いた。
タカユキがケータイ忘れたから自分からメールした。
タカユキが用事があるから体育館倉庫の裏に来てだってさ」

コウイチ君からのメールだった。
確かにクラスにタカユキ君の姿はない。
それにしても用事って何だろうか。ケータイ忘れたにしても
クラスで言ってくれればいいのに。

私は疑問に思いつつも体育館倉庫の裏に向かった。


つづく

イ・ビ・ツなトライアングル (10)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
08 /31 2010
次の日学校へ行くと教室が幾分か騒がしかった。何かあったのだろうか?

「まーたコウイチ様にチャレンジして撃沈した女子が一名誕生だって。
これで通算10人目。二桁達成、相変わらずの撃墜王と言う事ね」

カナエがそうこぼした。それでウワサが駆け巡ってると言う事なのだろうか。
それにしては少しおかしい。
コウイチ君に振られる女子が現れるのは日常茶飯事なはずで、
こんなに騒ぎになる事はないはずだ。

「それがね、断る理由が今までと違ったんだって。今までは、
 恋愛に興味がないから(キリッ、だったのが、気になる人がいるから(キリッ
 になったんだって。それでいま一体気になる人って誰なんだろうって情報が錯綜してる所」

そうだったのか。コウイチ君の気になる人とは一体誰だろうか。
そう考えた瞬間昨日の事が思い起こされてまた怒りがフツフツと沸いてきた。

「向こうのグループは4組の篠塚さんなんじゃないかって言ってたけど。
 ユミ、何かあてとかないの?いつも3人で帰ってるんでしょ?」

その質問を聞くやいなや私は堰を切ったように昨日の話をした。
告白された事、それが冗談だった事、小バカにされて何もできなかった事etc.etc・・・

「もうアッタマきちゃう!いくら冗談でも言っていい事と悪い事があると思わない?
 一瞬でも真面目に考えた私がバカみたいだよ!もう」

それをカナエは気難しそうな顔をして私の話を聞いていた。
これは何か考えている時の顔だ。

「それって・・・本当に冗談だったのかな?」
「え?」
「いや、ユミに断られると思って冗談に切り替えた・・・とか」
「・・・」
「ごめん、今の話は忘れて。私の考えすぎね」

そう言うとカナエは真面目なままの顔で、「その話は誰にもしない方が良いよ。
あと、コウイチ様と二人で帰るの禁止。ただでさえ誤解されやすいポジションにいるんだからさ。」

そうだ。気安く二人で帰ってしまった私にも責任がある・・・のかもしれない。

「これ以上女子連のマークが厳しくならないといいんだけど・・・」

カナエは独り言のようにこう呟いた後、「まぁ、気にしてもしょうがない。
タカユキ君とラブラブする事だけ考えときなよ。せっかく付き合ってるんだからさ、ユ・ミ」
と言った。


つづく

イ・ビ・ツなトライアングル (9)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
08 /30 2010
無事に家に帰り着き、部屋のベッドにそのまま寝っ転がると
コウイチ君に対する怒りがフツフツと沸いてきた。
どうしてか?時間をさかのぼろう。

コウイチ君のいきなりの告白に私は頭が真っ白になった。
そう言う意味では同じだ、タカユキ君に告白された時と・・・
いや、あのときは呼び出しがあっただけもしかしたらという気持ちがあった。
今回は出し抜けに言われたのだ。
私は混乱した。どうすればいいのか分からなくなった。
とにかく断らないと・・・私の彼氏はタカユキ君ただ一人なんだから。
でもどうやって?どうすれば傷つけずに断れる?
ええい、落ち着けユミ、落ち着・・・

「冗談だよ」

コウイチ君はあっけらかんとこう言った。

「ごめん、山下さんの困った顔が急に見たくなっちゃったんだ」

冗談?ウソだってこと?だとしたらなんてタチの悪いジョークだろうか。
私は気が動転した状態だったが、「それで、満足できましたか?」と応えた。
私なりの精一杯の皮肉だ。

「うん、満足した。やっぱり山下さんは純粋だ」

そう言うとコウイチ君はじゃあ、と言って自分の家の方角へ帰っていった。

そして今に至るという訳だ。
ああ、困ったさ。畜生。

私はコウイチ君に完全にもてあそばれてた。
そりゃ怒りも沸く。どうしてあんな意地悪な事を言うのだろうか。

私はまたカナエに喋る事が増えたな、と少し冷静になりながら思って、
そのまままどろんで寝てしまった。

つづく

イ・ビ・ツなトライアングル (8)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
08 /29 2010
いつものように手芸部の部活が終わり、3人で帰る集合場所に向かった。
だが、いつもと違っている事があった。
集合場所にタカユキ君の姿はなかったのだ。
いつもならタカユキ君が一番最初に集合場所にいて、私が2番目、
そして少し遅れてコウイチ君という順番だった。
私が待っていると同じような時刻にコウイチ君は現れた。
タカユキ君は依然来ない。

その時だった。私のケータイが鳴った。タカユキ君からのメールだ。

「ごめん、今日は部活でかなり遅くなりそう。先に帰っててくれない?」

先に帰る・・・先に帰る。先に帰る!?

「タカユキ、遅くなるみたいだね。今日は先に帰ろうか」

コウイチ君が話しかけてきた。私はつい、「う、うん」と返事をしてしまった。

もしかしてこれはマズいのではないだろうか。

「何してるの?帰ろうよ」

コウイチ君は普段と変わらないように話しかけてくる。
考えていても仕方ない。堂々と、という言葉が脳内でリフレインした。

私達は二人で帰る事になった。今まで一度もなかった事だ。

「山下さんはさー、タカユキのどの辺がよくて付き合ってるの?」
「うーん・・・優しいじゃないですか、タカユキ君って」
「あー、そうだね。優しいねアイツ」

笑顔がかわいいからと言うホンネはつい隠してしまった。
恥ずかしくてそんなの言えない。

「今まで誰かと付き合ったことは?」
「はじめて・・・です」
ああ、なんでそんなこと聞いてくるんだろう。早く過ぎろ時間。

「山下さん、純粋だとか純真だってよく言われない?」
「わりと・・・言われます」
「だよねー、見てたら一発で分かるもん。そういうオーラ出てるし」

他の女子はこんな会話をコウイチ君と交わすのが楽しいと本気で思っているのだろうか。
今の私にとっては苦痛でしかない。

だがもうすぐコウイチ君と別れる道だ。ゴールは近い。
そのせいで私は油断しきっていた。

「山下さんさぁ・・・あのさ、オレと付き合わない?」


はあ?


つづく

イ・ビ・ツなトライアングル (7)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
08 /28 2010
「ちょっとメンドくさい事になってるみたいね」
カナエはめずらしく真面目な顔でこう言った。
「どうすればいいと思う?」
「うーん・・・いくつか方法はあると思うけど」
私は間髪入れずに教えて!と食い付いていた。

「まず一つ目。コウイチ様に遠慮してもらうように言う」
それは私も考えた。だが、タカユキ君の楽しそうな顔を思い出すとそれを言うのははばかられた。
それにどう切り出せばいいのか私には分からない。
加えてそれを言うのはひどくわがままに感じられた。
「でもユキじゃ言えないよね。まぁ分かってて言ったんだけど」
カナエは何でもお見通し、と言う事か。

「じゃあ二つ目。二人と一緒に帰るのを止める。」
そうすれば女子連に誤解されるのは防げる。
だが、ただでさえ少ないタカユキ君と一緒にいる時間がなくなってしまう。
それはイヤだ。タカユキ君と一緒にいたい。
「でもそれもイヤなんでしょ?」
私はクビをブンブンと縦に振った。

「それじゃあ第3の道しかないね」
カナエは静かにこう言った。私は第3の道って?と尋ねた。
「このまま堂々としている、って事」
「ユミは何も悪い事をしているんじゃないでしょ?
なら堂々としてればいいじゃない。人の噂も七十五日。
いつかこのバッシングめいた状況も落ち着くよ」
そうなのだ。私は何も悪い事はしていない。なら堂々としていればいい。
でもそれだとタカユキ君と二人で、という所は満たされない。
「そこが私じゃ解決できないのよね。ごめんねユミ、
結局役に立たないアドバイスしかできなくて。 
でも休日を利用したりすればいいんじゃない? 
デートしちゃいなよ、カップルなんだからさ」

休日にデート、か。そういえば話には出ているがまだ一度も休日にデートした事はない。
こちらから切り出すのは勇気が要るが、今度切り出してみようかな。
「それにしたってコウイチ様も気を利かせてくれたらいいのにねぇ?
なにも彼氏彼女の間に割り込んでこなくてもさぁ。
人気者の考えてる事は分からないねぇ」
カナエは肩肘を付いて手を頬に当てながらこう言った。

結局私達3人が一緒に帰る行為はしばらく続く事になった。
私としては不満も残るが仕方ない。今の状況を甘受することで妥協する事にした。
そんな中だった、あの事件が起こったのは。


つづく

イ・ビ・ツなトライアングル (6)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
08 /27 2010
タカユキ君と付き合い始めて1ヶ月が経つ。時が経つのは早いものだ。
タカユキ君と一緒に帰ることはずっと続いていた。
が、少し前から一つ違った点があった。

コウイチ君が一緒に待ち合わせて3人で帰るようになっていたのだ。

3人で待ち合わせて私、タカユキ君、コウイチ君と並んで帰るようになっていた。
コウイチ君は「悪いね、二人の邪魔して。本当にイヤだったら言って。一人で帰るから」
と言った。
私は一人で帰ってくれと言えるほどそこまで鬼じゃない。
「とんでもない、二人は友達なんだから気にしないで下さい。私も気にしてないです。」
と応えた。

本心か、と言われたらそうではない。私はタカユキ君と二人で帰りたい。
二人でいられる時間はそう長くはないのだ。だから下校時間は貴重な時間なのだ。
コウイチ君が嫌いな訳ではない。
でも3人で帰るようになった状態には少しイラつかせられた。
一体コウイチ君は何を考えて割り込んできているのだろうか。

タカユキ君はというと、私の心を知って知らずかコウイチ君とも
私とも楽しそうに話をしながら一緒に帰っていた。
彼女と親友に囲まれて帰るのだからそりゃ楽しいかもしれない。
でも私はタカユキ君ってちょっと鈍い所があるのかなぁと漫然と思うようになった。
もちろんキライになんてなってないけど。
むしろ以前よりも自然体なタカユキ君の所作に魅せられて好きになっていた。

一方でカナエが危惧していた事が現実になろうとしていた。
コウイチ君と一緒に帰る事によって女子連の私を見る目は厳しくなっていた。
「コウイチ様と一緒に帰ってるあの女は誰?」
地味で通してきた私がこんなに目立つ事はかつてなかった。

過激な意見ではコウイチ君は私の事が好きだと言うのもあった。
もちろん過剰な思い込みの間違った話だ。だがウワサは加速する。
それが大きくセンセーショナルな間違いであればあるほどだ。

私の周囲には不穏な空気が流れはじめていた。


つづく

イ・ビ・ツなトライアングル (5)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
08 /22 2010
「ふーん」

タカユキ君と西山コウイチ君が親友だった事実をカナエに伝えると、
カナエはあまり興味なさそうにしていた。意外だ。もっと食い付いて来ると思ったのに。

「まぁ知ってたしね。コウイチ様の交友関係ぐらい。
というかなんでユミ知らないの?常識だよキミィ」

コウイチ様。周りではこう呼ばれているのか。
そしてタカユキ君とコウイチ様の仲も常識なのか。
タカユキ君が好きなのに全く知らなかった私はどれだけ情弱なのかと嘆いていると、
カナエが「タカユキ君と付き合ってるからってユミ、
コウイチ様とあまりお近づきにならない方がいいよ。
コウイチ様のファンの逆恨み買ってもしょうがないしね」とアドバイスしてくれた。

私が好きなのはタカユキ君だけだ。

と言っても誤解を受けるような事をしていたらファンの人は聞いてくれないだろう。
コウイチ様と誰か他の女子が一緒にいるだけでファンは不快なのだろうから。
私はわかったと応えると授業のチャイムが鳴った。次は国語の時間だ。
私は席に戻って授業の準備を始めた。

つづく

イ・ビ・ツなトライアングル (4)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
08 /22 2010
「はじめまして」

タカユキ君の親友、西山コウイチ君は静かにこう言った。
私はその挙措があまりにも自然だったので、
少しまごつきながらはじめましてと返事をした。

西山コウイチ、まさかあの有名人とタカユキ君に繋がりがあったとは。

西山君は私の隣のクラスだ。所属はサッカー部、ポジションはFWでストライカーだ。
Jリーグが注目・・・とまでは行かないが、大学の先生はたまに見学に来るらしい。
西山君は勉強もできた。県内でも有数の進学校であるうちでランキング10位以内に常に入っていた。
(ちなみに私は400人中100番ぐらい。タカユキ君は200番ぐらい。
タカユキ君はここでも平均っぷりを発揮していた。それがなんだかおかしい。)
そして何よりも西山君はジャニーズに所属していてもおかしくないようなイケメンだった。
ここまで言えばどうして西山君が有名人かが分かるだろう。
要するに男子の間では羨望の目で、女子の間ではハートマークで見られるのが西山君と言う事だ。

その西山君が目の前にいる。
別にジャニオタでもない私だがその立ち姿は絵になると思った。

「タカユキ、彼女ができたって本当だったんだな。忙しくて会ってなかったから冗談なのかと思ってたよ」
「ウソで言う訳ないだろ。第一オレがお前にウソ付いた事なんて一度もないだろうに。」
「そうだな。スマンスマン」

そう言って西山君は苦笑いをした。

「山下さん、こいつおとなしいヤツですが、いいヤツなんで見捨てないでやってくださいね」

私は滅相もない!見捨てたりなんてしませんよと応えて苦笑いをした。

こうしてタカユキ君の親友に彼女として紹介されるという「儀式」は滞りなく終了したのだった。

つづく

イ・ビ・ツなトライアングル (3)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
08 /21 2010
田中タカユキ、高一、身長は170cm、体重60キロぐらい。
弓道部に所属している。私と同じクラスだ。
クラス内では・・・地味な方だと思う。あまり話題に上ってるのを聞いた事がない。

そんな彼をどうして私が気になっていたのか。
タカユキ君は・・・笑顔がかわいいのだ。
クラスの友達とつるんでる時に顔をクシャクシャにして笑う笑顔、
そこに惹かれていた。

クラスでも話した事はほとんどなかった。
だから告白された時は本当に驚いたのだ。晴天の霹靂、
ブーリブリチャガピガッピガッといった感じだ。

私達は付き合い始めてから一緒に帰る事になった。
私は手芸部に所属してるから、お互い部活が終わった後に待ち合わせした。

「ごめん!山下さん、待った?」
「ううん、全然待ってないよ!私も今来た所」
「じゃあ帰ろうか」
「うん」

タカユキ君を横にして一緒に帰る。なんだか不思議な感覚だ。

「山下さん、ジブリでいったら何が好き?」
「千と千尋かな。後半の静かな電車のシーンが好きなんだ。
 カオナシも大人しくなっててなんかおかしいし。」
「カオナシって言ったら今度の借りぐらしのアリエッティの監督が
 モデルらしいよ。アリエッティ、観た?」
「ううん、まだ観てない。」
「じゃあ今度観に行こうか?」
「そうだね!行こう行こう」

こんな感じの他愛ない会話が続くのが常だった。
それがたまらなく楽しいのだ。
好きな人とは喋ってるだけで幸せな気分になるというのは本当だ。
「そういえば今度紹介したい友達がいるんだ」
「友達?」
「そう、親友なんだけど」

親友、という響きにちょっとだけ違和感を持った。
私がカナエに対して恥ずかしくて使えない言葉だからだ。
親友と気軽に言えるタカユキ君が少しうらやましかった。

とにもかくにも、私はタカユキ君の彼女として紹介される事になった。

つづく

イ・ビ・ツなトライアングル (2)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
08 /17 2010
「私、告白されちゃった」
私がそう言うとカナエは目をキョトンとした後、誰に?と尋ねてきた。
田中君に、と言うとハハハッと笑った後に、で、オッケーしたの?
と尋ねてきた。私が無言で頷くと、そっかぁと言って遠い目をした。
「ついにユミにも彼氏ができたかぁ。ハハハッ、
でも今までいなかった事の方が不思議だったよ私からしたら。
相手の田中君?前から気になってたんでしょ?スゴいラッキーだね~、
でもこれも運命ってヤツ?なのかもね。とにかくよかったよかった!」
「あのさ・・・」
「何?」
「付き合う事になったんだけど・・・まだ付き合うってよくわかんなくて・・・」
そう言うとカナエは再び目をキョトンとさせた後、ハハハッとひとしきり笑い声をあげた。
「純情だねぇ、ユミは。大丈夫、ほっといても付き合ってれば分かるよ」
「そうかなぁ?」
「そうそう。私を信じ給えよユミ。信じる者は救われる、ってね」
私は少しだけおちょくられてる気がして「もうっ!」と言った。
カナエはまぁ何か進展があったら教えてよと言って、この話は終わりになった。

カナエについて少し説明しようと思う。
カナエとは小学生からの付き合いになる。まぁいわゆる「親友」と言うヤツだ。
直接親友と呼んだ事はないが、私はそう思っている。
カナエとは何の話でもできるし、実際してきたと思う。
向こうもなんでも心を開いて話をしてくれている・・・と思う、たぶん。

これから田中君と付き合う事になる。きっと私はカナエにいろいろな相談をするのだろう。
あー、それにしても付き合うってどういう事なんだろう。

今の私には全く分からない。


つづく

イ・ビ・ツなトライアングル (1)

イ・ビ・ツなトライアングル(小説)
08 /17 2010
いつだって幸運は突然に訪れるものだ。

小学生の頃、給食にプリンが出た。
一人に一個配られるプリン。そして休んだ人の余ったプリン。
食べたい人は手を挙げてジャンケンをする。日本中のどこにでもある一コマ。
私も手を挙げたかったが、それはできなかった。
二個食べるというがめついと思われてしまう行為が挙手を躊躇わせた。
それに何より、あの男子の争いの中に入っていく勇気はなかった。

そんなとき、隣で給食を食べていたサユちゃんが、
「私、プリン嫌いなの。ユミちゃん、食べてくれない?」
と言ってきた。私は二つ返事で頷いた。
休んだ子のプリン争いが教室で繰り広げられる中、
私は悠々と二個のプリンを堪能した。

こんな事もあった。

中学生の頃、隣の県に来たルノアールの美術展。
どうしても直に観たかったルノアール。それがこの目で観られる。
でもルノアールが来ているのを気がついた時には次の日が最終日。
しかも私は次の日寝過ごしてしまって出かけるのが大幅に遅れてしまい、
閉じてしまった美術館で呆然と立ち尽くすより他に仕方がなかった。

でもそんな私を気の毒に思ったのか、
係の人が「少しだけなら見てもいいよ」と言ってくれた。
誰もいない美術館。観客は私だけ。
いつもなら大行列の絵画たちを、私は1人で堪能した。

なぜこんな事を思い出しているのかというと、
またしても幸福が突然に訪れたからだ。

―――――――――――――――――――――――――――――――

「山下さん、僕と付き合ってくれませんか?」

高1の夏、私は突然前からずっと気になっていた田中君に告白された。
何の前触れもなく、いきなりの事だった。

返事はもちろんイエス!

だが、びっくりしたので一旦保留にして後日返事をした。
私は期せずして彼氏持ちのリア充ガールになってしまった。

いつだって幸運は突然に訪れる。

だがそういえばそうだった。
小学生の時プリンを食べた次の日、私はお腹を壊して学校を休んだ。
中学生の時私は遠出しているのをすっかり忘れ、気がついた頃には途中で
家に帰る電車がなくなった。駅で一晩過ごし、朝方家に帰った時には母親に
「女子にあるまじき行為」と散々叱られた。


そう、幸運にはいつも、不幸がついて回るのだ-

つづく

けった

2017年はほどほどに