イ・ビ・ツなトライアングル (29)終
「もう行くのか」
「ああ。元気でな」
「お前こそ」
「サヤカちゃん、元気でね」
「はい!わざわざありがとうございます」
そう言うとアイツとサヤカちゃんは親が乗る車に一緒に乗り、旅立っていった。
「行っちゃったなぁ」
「そうね」
タカユキ君と一緒に帰ろうとした時、タカユキ君がボソッと呟いた。
「やっぱり、そうだったのかな・・・」
「え?なんて?」
「い、いや、なんでもない」
「隠し事はしないって約束でしょ!?」
タカユキ君はそうだったねと言うと、少しずつ話し出した。
「アイツ、コウイチのヤツ・・・」
「コウイチ君が?」
「ユミの事、好きだったのかなって」
アイツが私の事が好き!?なんでそーいう話になるのか分からない。
「ユミに告白する時、オレ、コウイチに相談しなかったんだ。うん、事後報告だった」
「後で伝えたら、コウイチのヤツ渋い顔してさ、
タカユキの好きな人って山下さんだったのかって漏らしてた」
「しかもユミがそれにオッケー出したでしょ?だから言い出しにくかったのかなって」
「それだけで?」
「なんとなく分かるもんだよ、もう付き合いも長いし」
アイツが私の事が好きだった・・・か。
そう考えると折り合いが付くネタもいくつかあるが、もう終わったことだ。
「もしかしたら今日何か言うと思ったけど、何も言わないし、
まぁ今となっては本人に確認する事でもないし」
「友達がいなくなって寂しい?」
「そりゃあ・・・」
「でもいいんだ。今はユミがいるし」
「そうね。私もタカユキがいるなら、それでいいよ」
「ホントに?」
「嘘はつかない。約束でしょ?」
「そうだね。じゃあどこかに寄ってから帰ろうか?」
「そうだね」
雨上がりの雲一つない空、私とタカユキは歩き出した。
おわり
「ああ。元気でな」
「お前こそ」
「サヤカちゃん、元気でね」
「はい!わざわざありがとうございます」
そう言うとアイツとサヤカちゃんは親が乗る車に一緒に乗り、旅立っていった。
「行っちゃったなぁ」
「そうね」
タカユキ君と一緒に帰ろうとした時、タカユキ君がボソッと呟いた。
「やっぱり、そうだったのかな・・・」
「え?なんて?」
「い、いや、なんでもない」
「隠し事はしないって約束でしょ!?」
タカユキ君はそうだったねと言うと、少しずつ話し出した。
「アイツ、コウイチのヤツ・・・」
「コウイチ君が?」
「ユミの事、好きだったのかなって」
アイツが私の事が好き!?なんでそーいう話になるのか分からない。
「ユミに告白する時、オレ、コウイチに相談しなかったんだ。うん、事後報告だった」
「後で伝えたら、コウイチのヤツ渋い顔してさ、
タカユキの好きな人って山下さんだったのかって漏らしてた」
「しかもユミがそれにオッケー出したでしょ?だから言い出しにくかったのかなって」
「それだけで?」
「なんとなく分かるもんだよ、もう付き合いも長いし」
アイツが私の事が好きだった・・・か。
そう考えると折り合いが付くネタもいくつかあるが、もう終わったことだ。
「もしかしたら今日何か言うと思ったけど、何も言わないし、
まぁ今となっては本人に確認する事でもないし」
「友達がいなくなって寂しい?」
「そりゃあ・・・」
「でもいいんだ。今はユミがいるし」
「そうね。私もタカユキがいるなら、それでいいよ」
「ホントに?」
「嘘はつかない。約束でしょ?」
「そうだね。じゃあどこかに寄ってから帰ろうか?」
「そうだね」
雨上がりの雲一つない空、私とタカユキは歩き出した。
おわり
2012-04-15(Sun)
イ・ビ・ツなトライアングル(28)
アイツに会うために放課後校舎の入り口で出張っていた時だ。
突然、「山下さん・・・」と話しかけられた。
タカユキ君だ。
「山下さん、話したいことがあるんだ」
「・・・何?」
「ここじゃちょっと・・・駅前の喫茶店に行かない?」
アイツを待っていたが、
タカユキ君があまりにも憔悴した感じで話しかけてきたので私は狼狽した。
ここは付いていって話を聞くしかないだろう。
喫茶店に行くまでの間、
タカユキ君は話しかけても顔を下げたまま「そう」とか「あぁ」とかしか言わなかった。
駅前の喫茶店に着くと私達はコーヒーを二つ注文した。
コーヒーを頼んだ後、タカユキ君は静かに話し始めた。
「もう一度やり直したいんだ」
ちょっと待て。まだ別れるなんて話はしてないつもりだけど。
「今までの自分は間違ってた。友達の力を借りて彼女とつき合おうなんて。
彼女に好きでいてもらおうなんて」
うん、それは間違ってる。でももう済んだことだ。
「だから、一人の力で山下さんと向き合いたい。ここ数日考えた結論がこれなんだ」
「・・・一つだけ聞かせて。」
「何?」
「コウイチ君にはなんて指示を出してたの?」
「具体的には指示なんて出してないよ!
ただ困った時に相談に乗ってくれ、もしくは助けてくれって」
「・・・それだけ?」
「そう。それだけ。」
私は拍子抜けした。やっぱりカナエが言っていたことが正しかったのか。
「・・・嫌いになった、オレのこと?」
「ちょっとね」
そう私が言うとタカユキ君はハハッ、と力なく笑った。
どうやらここで結論を出さないといけないらしい。神様がタイムリミットを告げている。
来たコーヒーを頼りなく飲むタカユキ君は儚げだ。人生の移ろいを感じさせる。
この人の10年後、20年後、私は隣で微笑んでいるのだろうか?
いや、そんな先のことは考えなくていい。明日、明後日の話でもいい。
要は明日タカユキ君の隣にいたいかどうか、それで決めてもいいのではないだろうか?
私は・・・
「一つだけ約束して欲しいの」
「何?」
「もう私に隠し事はしない、って事」
「も、もちろん」
「ならいいよ。許してあげる」
「・・・ホントに?」
「ウソは言わないわ。タカユキ君と違うし」
そう言うとタカユキ君はキツいなぁ・・・と言い、またハハッと笑った。
そうなのだ。私はタカユキ君が好きなのだ。
どうやらいろんな事に気を取られすぎていたのだ。ここ数ヶ月というものは。
付き合うと言うことで頭がでっかちになっていたのだ。
タカユキ君が好きという気持ち、そしてタカユキ君が私を好きでいてくれる気持ち。
この二つがある限り、私達は大丈夫なはずだ。
焦らなくてもいい、ゆっくり彼氏彼女になっていけばいいのだ。
私が許す意向を示すと、タカユキ君は俄然元気になり、
クラスメイトのうっかりミスやバカ話に花を添えている。
意外と現金だな、コイツ。
そんなこんなで二人は平常運転に戻りました まる
次回、最終回
突然、「山下さん・・・」と話しかけられた。
タカユキ君だ。
「山下さん、話したいことがあるんだ」
「・・・何?」
「ここじゃちょっと・・・駅前の喫茶店に行かない?」
アイツを待っていたが、
タカユキ君があまりにも憔悴した感じで話しかけてきたので私は狼狽した。
ここは付いていって話を聞くしかないだろう。
喫茶店に行くまでの間、
タカユキ君は話しかけても顔を下げたまま「そう」とか「あぁ」とかしか言わなかった。
駅前の喫茶店に着くと私達はコーヒーを二つ注文した。
コーヒーを頼んだ後、タカユキ君は静かに話し始めた。
「もう一度やり直したいんだ」
ちょっと待て。まだ別れるなんて話はしてないつもりだけど。
「今までの自分は間違ってた。友達の力を借りて彼女とつき合おうなんて。
彼女に好きでいてもらおうなんて」
うん、それは間違ってる。でももう済んだことだ。
「だから、一人の力で山下さんと向き合いたい。ここ数日考えた結論がこれなんだ」
「・・・一つだけ聞かせて。」
「何?」
「コウイチ君にはなんて指示を出してたの?」
「具体的には指示なんて出してないよ!
ただ困った時に相談に乗ってくれ、もしくは助けてくれって」
「・・・それだけ?」
「そう。それだけ。」
私は拍子抜けした。やっぱりカナエが言っていたことが正しかったのか。
「・・・嫌いになった、オレのこと?」
「ちょっとね」
そう私が言うとタカユキ君はハハッ、と力なく笑った。
どうやらここで結論を出さないといけないらしい。神様がタイムリミットを告げている。
来たコーヒーを頼りなく飲むタカユキ君は儚げだ。人生の移ろいを感じさせる。
この人の10年後、20年後、私は隣で微笑んでいるのだろうか?
いや、そんな先のことは考えなくていい。明日、明後日の話でもいい。
要は明日タカユキ君の隣にいたいかどうか、それで決めてもいいのではないだろうか?
私は・・・
「一つだけ約束して欲しいの」
「何?」
「もう私に隠し事はしない、って事」
「も、もちろん」
「ならいいよ。許してあげる」
「・・・ホントに?」
「ウソは言わないわ。タカユキ君と違うし」
そう言うとタカユキ君はキツいなぁ・・・と言い、またハハッと笑った。
そうなのだ。私はタカユキ君が好きなのだ。
どうやらいろんな事に気を取られすぎていたのだ。ここ数ヶ月というものは。
付き合うと言うことで頭がでっかちになっていたのだ。
タカユキ君が好きという気持ち、そしてタカユキ君が私を好きでいてくれる気持ち。
この二つがある限り、私達は大丈夫なはずだ。
焦らなくてもいい、ゆっくり彼氏彼女になっていけばいいのだ。
私が許す意向を示すと、タカユキ君は俄然元気になり、
クラスメイトのうっかりミスやバカ話に花を添えている。
意外と現金だな、コイツ。
そんなこんなで二人は平常運転に戻りました まる
次回、最終回
2012-04-03(Tue)
イ・ビ・ツなトライアングル(27)
「・・・という事なの」
そうカナエに最近起こったことを説明すると、
カナエは「ふーん」と言ったきり静かになった。
「どうしたの?急に黙っちゃって」
私が尋ねるとカナエは大きく深呼吸をした。
「どーも納得いかないなぁ」
「納得いかないって?」
「今までの事が全部タカユキ君の指示って点」
「でも本人が認めたんだよ?」
「ここまでやれとは言ってない!って言ったんでしょ?タカユキ君」
「確かにそうだけど・・・」
「どうもアイツが勝手にタカユキ君の発言をねじ曲げて動いてる気がしてしょーがないんだけど」
「でも・・・」
「やっぱり納得できない。それともユミ私に話した事でまだ喋ってないことない?」
それは・・・ある。
アイツが公園でキスをしてきたことだ。それ以外は正直にカナエに申告している。
が、それは言えない。
私の中でも整理が付いてない点であるし、カナエには知られたくないからだ。
「それは・・・ないよ」
「そ・れ・な・ら!」
「それなら?」
「もう一度会って確かめる必要があるね」
誰に?と聞かなくても分かるか。
「アイツに決まってるでしょ!まさかこの期に及んで嫌とは言わないでしょ!?」
アイツにまた会うのか・・・どうも1対1で会うとロクな事が起こらない。
「だってユミ、タカユキ君と今は話せないでしょ?それならアイツに聞くしかないよ。
アイツがまだこの学校にいるうちにさ」
「でも・・・」
「でももへったくれもなし!もう待ったなし!
だいぶハッキリしてきてるんだから元気出して!最後はユミが終わらせるんだよ」
「終わらせるって、何を?」
そう言うと、カナエはニヤッと笑って、
「この、イビツなトライアングルを」
と、のたまった。
つづく
そうカナエに最近起こったことを説明すると、
カナエは「ふーん」と言ったきり静かになった。
「どうしたの?急に黙っちゃって」
私が尋ねるとカナエは大きく深呼吸をした。
「どーも納得いかないなぁ」
「納得いかないって?」
「今までの事が全部タカユキ君の指示って点」
「でも本人が認めたんだよ?」
「ここまでやれとは言ってない!って言ったんでしょ?タカユキ君」
「確かにそうだけど・・・」
「どうもアイツが勝手にタカユキ君の発言をねじ曲げて動いてる気がしてしょーがないんだけど」
「でも・・・」
「やっぱり納得できない。それともユミ私に話した事でまだ喋ってないことない?」
それは・・・ある。
アイツが公園でキスをしてきたことだ。それ以外は正直にカナエに申告している。
が、それは言えない。
私の中でも整理が付いてない点であるし、カナエには知られたくないからだ。
「それは・・・ないよ」
「そ・れ・な・ら!」
「それなら?」
「もう一度会って確かめる必要があるね」
誰に?と聞かなくても分かるか。
「アイツに決まってるでしょ!まさかこの期に及んで嫌とは言わないでしょ!?」
アイツにまた会うのか・・・どうも1対1で会うとロクな事が起こらない。
「だってユミ、タカユキ君と今は話せないでしょ?それならアイツに聞くしかないよ。
アイツがまだこの学校にいるうちにさ」
「でも・・・」
「でももへったくれもなし!もう待ったなし!
だいぶハッキリしてきてるんだから元気出して!最後はユミが終わらせるんだよ」
「終わらせるって、何を?」
そう言うと、カナエはニヤッと笑って、
「この、イビツなトライアングルを」
と、のたまった。
つづく
2012-03-05(Mon)
イ・ビ・ツなトライアングル (26)
「一体どういうことなの?」
「つまり、今までの行動はタカユキの指示によってオレが動いていた、ということだ」
「二人の時間がなかなか取れなかったことも、デートの邪魔をされたことも、
今日のこの茶番劇だってタカユキの考えたことだと言う事だ」
「違う・・・オレはここまでやれとは言ってない!」
「まぁここまでやったのはオレの考えでもあるがな・・・
でもタカユキが知っていた事に違いはない」
「ここに及んで裏切るのかよコウイチ」
「裏切るんじゃないさ、自分に正直になるだけのこと。
オレも時間がないんだ。もうまどろっこしい事は止めにしたい」
タカユキ君が、私のストレスの主原因だった・・・でもどうして?
「・・・不安だったんだ」
「山下さんの気持ちがいつ離れてしまうのか、いや、そもそもオレの方を向いていないじゃないのかって」
「それに、二人きりになるのも怖かった。いつ嫌われてもおかしくないじゃないかって・・・」
「だからコウイチにお願いした。できるだけ一緒に付いていてくれないか?って」
「それに山下さんの気持ちも知りたいって。本当にオレのことを好きでいてくれるのか?って」
「でも分かったよ。何度調べても山下さんは真剣なんだ。
山下さんは真剣にオレのことを考えてくれているって。
オレが間違ってた。コウイチの言うとおりだ。コウイチは始め乗り気ではなかったんだ。
でもオレが必死にお願いしてなんとかやってもらった。オレが間違ってたんだ。オレが・・・」
そう言うとタカユキ君は手で顔を覆った。
「ようやく言えたな、タカユキ」
コウイチは少し微笑むと、
「で、どうする?お前には選択権がある。この彼女を疑うどーしようもないヤツと交際を続けるか、
それともあきれ果ててつき合うのを止めるか。まったくの自由だ」
いきなりすべてをオープンにされて、その上答えまでだそうと言うのか。
相変わらずアイツは性急だ。
「私は・・・」
「私は時間が欲しい」
「今までタカユキ君がやって来たこと、それを簡単に許すことはできない。
だってずっと疑われてきたんだもん。私は真剣に対応してきたのに・・・」
「ごめん」
タカユキ君はこちらを向いて深々とお辞儀をした。
「だから今は・・・時間が欲しいの」
そう言うと、アイツは神妙な面持ちで、
「そうか・・・まぁオレがいなくなるまでには出して欲しいもんだね、
その結論ってやつを」
と言った。
つづく
「つまり、今までの行動はタカユキの指示によってオレが動いていた、ということだ」
「二人の時間がなかなか取れなかったことも、デートの邪魔をされたことも、
今日のこの茶番劇だってタカユキの考えたことだと言う事だ」
「違う・・・オレはここまでやれとは言ってない!」
「まぁここまでやったのはオレの考えでもあるがな・・・
でもタカユキが知っていた事に違いはない」
「ここに及んで裏切るのかよコウイチ」
「裏切るんじゃないさ、自分に正直になるだけのこと。
オレも時間がないんだ。もうまどろっこしい事は止めにしたい」
タカユキ君が、私のストレスの主原因だった・・・でもどうして?
「・・・不安だったんだ」
「山下さんの気持ちがいつ離れてしまうのか、いや、そもそもオレの方を向いていないじゃないのかって」
「それに、二人きりになるのも怖かった。いつ嫌われてもおかしくないじゃないかって・・・」
「だからコウイチにお願いした。できるだけ一緒に付いていてくれないか?って」
「それに山下さんの気持ちも知りたいって。本当にオレのことを好きでいてくれるのか?って」
「でも分かったよ。何度調べても山下さんは真剣なんだ。
山下さんは真剣にオレのことを考えてくれているって。
オレが間違ってた。コウイチの言うとおりだ。コウイチは始め乗り気ではなかったんだ。
でもオレが必死にお願いしてなんとかやってもらった。オレが間違ってたんだ。オレが・・・」
そう言うとタカユキ君は手で顔を覆った。
「ようやく言えたな、タカユキ」
コウイチは少し微笑むと、
「で、どうする?お前には選択権がある。この彼女を疑うどーしようもないヤツと交際を続けるか、
それともあきれ果ててつき合うのを止めるか。まったくの自由だ」
いきなりすべてをオープンにされて、その上答えまでだそうと言うのか。
相変わらずアイツは性急だ。
「私は・・・」
「私は時間が欲しい」
「今までタカユキ君がやって来たこと、それを簡単に許すことはできない。
だってずっと疑われてきたんだもん。私は真剣に対応してきたのに・・・」
「ごめん」
タカユキ君はこちらを向いて深々とお辞儀をした。
「だから今は・・・時間が欲しいの」
そう言うと、アイツは神妙な面持ちで、
「そうか・・・まぁオレがいなくなるまでには出して欲しいもんだね、
その結論ってやつを」
と言った。
つづく
2012-02-10(Fri)
イ・ビ・ツなトライアングル (25)
その日はあまり寝付けなかった。
目を覚ますと、もう昼前。約束の時間はすぐだ。
「会いたい。会いに来て」
ケータイを持つ手が震える。これ以外の文言が思いつかない。
12時。メールを送る。お願い、届いて、私の気持ち。
すると、すぐにタカユキ君から電話がかかってきた。
「もしもし」
「あ、山下さん。はぁ、どうしたの急に・・・はぁ、はぁ」
「・・・会いたいの」
「はぁ、今コウイチからも似たようなメールが来て、
走ってコウイチの所に向かってるんだけど・・・はぁ、後からでもいい?」
負けた。
いや、勝負はまだ付いてない。
「私も、私も行く!コウイチ君の住所教えて!」
「西町の5−24だけど・・・はぁ、一体なんなの?」
「私も合流するからゆっくり進んでて!じゃ!」
走り出せ、私。
ネットでだいたいの場所を調べた後、私は飛び出していた。
走って、走って、走って、走った。
着いた。ちょうどタカユキ君もいる。
「早かったね、山下さん」
私たちはアイツの呼び鈴を鳴らした。
すぐにアイツが出てきた。私の姿を確認すると目を丸くしている。
「お前も来たのか・・・ハハッ、この勝負はどうなるんだろうな。
先に会ったのはお前が最初だもんな、オレの負けか」
「勝負ってなんだよ。話があるから来たってのに」
「もう止めにしないか、タカユキ」
「止めにするって?」
「知らないふりをするのは止めると言うこと」
「全部知ってるだろ。おれ達のこじれた関係」
「・・・」
「ちょっとどういう事よ!タカユキ君は関係ないじゃない!」
「そうだとよかったんだがな。関係ないとは言えないんだ」
「むしろ首謀者はタカユキだ。こいつがおれに指示したんだ」
タカユキ君が・・・真犯人?
つづく
目を覚ますと、もう昼前。約束の時間はすぐだ。
「会いたい。会いに来て」
ケータイを持つ手が震える。これ以外の文言が思いつかない。
12時。メールを送る。お願い、届いて、私の気持ち。
すると、すぐにタカユキ君から電話がかかってきた。
「もしもし」
「あ、山下さん。はぁ、どうしたの急に・・・はぁ、はぁ」
「・・・会いたいの」
「はぁ、今コウイチからも似たようなメールが来て、
走ってコウイチの所に向かってるんだけど・・・はぁ、後からでもいい?」
負けた。
いや、勝負はまだ付いてない。
「私も、私も行く!コウイチ君の住所教えて!」
「西町の5−24だけど・・・はぁ、一体なんなの?」
「私も合流するからゆっくり進んでて!じゃ!」
走り出せ、私。
ネットでだいたいの場所を調べた後、私は飛び出していた。
走って、走って、走って、走った。
着いた。ちょうどタカユキ君もいる。
「早かったね、山下さん」
私たちはアイツの呼び鈴を鳴らした。
すぐにアイツが出てきた。私の姿を確認すると目を丸くしている。
「お前も来たのか・・・ハハッ、この勝負はどうなるんだろうな。
先に会ったのはお前が最初だもんな、オレの負けか」
「勝負ってなんだよ。話があるから来たってのに」
「もう止めにしないか、タカユキ」
「止めにするって?」
「知らないふりをするのは止めると言うこと」
「全部知ってるだろ。おれ達のこじれた関係」
「・・・」
「ちょっとどういう事よ!タカユキ君は関係ないじゃない!」
「そうだとよかったんだがな。関係ないとは言えないんだ」
「むしろ首謀者はタカユキだ。こいつがおれに指示したんだ」
タカユキ君が・・・真犯人?
つづく
2012-02-06(Mon)